乙女はお姉さまに恋してる

 

一言レビュー

最強の女装主人公と膨大な共通シナリオ

 

グラフィック 7点
シナリオ 7点
ボリューム 6点
快適さ 6点
満足度 5点
総プレイ時間 48時間
総合評価 62点

 

 

美少女顔の主人公(男)は屈指の財閥鏑木家の一人息子。

文武両道なのにいまひとつ自分に自信がなく、

他人に無関心で頼りない。

高校3年の春、亡くなった祖父の遺言により、

無理やりお嬢様学校へ転校させられ、

女装して学院内の寮に住みながら学校へ通う事になった。

 

男だとばれないように大人しく、慎ましく、を願うが、

従姉の企みにより、全生徒に「お姉さま」と呼ばれ、慕われる

エルダー・シスターにまつり上げられてしまい、

一挙一動を注目される時の人になってしまう…という、

ちょっと色物っぽい設定のストーリーです。

 

ただ、お姉さま、女子高、美少女、お嬢様、美少年の女装というものから

こちらがイメージし、期待するものに万全の体制で答えてくれます。

それこそもう、ありとあらゆるところで。

上のフレーズにぴぴん、と来たら買いでしょう。

 

一応ヒロインは5人+1。

お嬢様あり、従姉あり、ツンデレ系、妹系と

バラエティーあふれるメンバーですので、

誰か必ずお気に入りがいるはず。

基本的にお気に入りのヒロインを攻略すれば、

それで終わりというゲーム形態ですので、

全ヒロインを攻略する必要はありません。

 

といっても、ストーリー展開にちょっと問題があります。

6月から翌年3月まで、全八話+α、

ひと月一話という形式になっているのですが、

12月の六話まで、全ヒロイン共通シナリオになっているのです。

選択肢によりややバリエーションはありますが、

それでもストーリー展開はほぼ同じ。

しかもヒロインによっては、ストーリーが

尻切れトンボに終わってしまうものもあり、

圧倒的にシナリオの練りこみが足りません。

 

七話からがヒロインごとのシナリオになるわけですが、

それも他ヒロインと同じような展開や会話が多く、

ストーリーの8割〜9割が他ヒロインとの共通シナリオで

正直飽きてしまいます。

全ヒロインを一応攻略しましたが、

最後の3人ぐらいは同じようなシナリオや展開が辛かったですね。

 

 

アドベンチャー系に必要なシステムは基本的に揃っています。

概読スキップ機能ですが、

同じ台詞をしゃべっているにもかかわらず、

他ヒロインルートでは概読とみなされないので、

スキップされないのが使いづらかったですね。

 

CG閲覧モードもあるにはあるのですが、

下に映画のフィルムのように、ずらりとCGが一直線にループ状に並んでおり、

時系列に並んでいるわけでも、キャラクターごとに並んでいるわけでもなく、

ごった混ぜの順不同なので、

見たいCGを探すのが大変で、非常に見辛いです。

 

お助けナビという機能があり、

どのヒロインの好感度を上げる選択肢か一目瞭然ですので、

ゲーム性は皆無に等しいです。

ただ、恋愛系アドベンチャーは任意のヒロインルートへ

楽に進めるほうが助かるので、これはこれでいいかもしれません。

 

ゲーム中、立ち絵はもちろんのこと、

CGまで口ぱくするのはとても驚きました。

しかも台詞に連動しているのがすごいです。

かなりの執念を感じましたね。

 

 

グラフィックですが、萌え系の絵ながらも、

どちらかというと万人受けするタイプ。

イベントCGは綺麗なのですが、

背景グラフィックがちょっと雑です。

特に教室や廊下での背景の人物たち。

なぜか彼女たちは水彩画風の、のっぺらぼうです。

主人公やヒロインたちの塗りとはかなり違っていて、とても浮きます。

 

他の生徒達の立ち絵もあるのですが、

3種類しかなく、人物は違うのに

同じ顔が何度も出てくるのにはかなりの違和感を覚えました。

それと、主人公・ヒロインクラスの声優さんが

その他大勢の生徒の声をしているのもかなりきつかったです。

声の使い分けが出来る方ならともかく、

どれがどのキャラを演じている人のものか丸わかりですので。

 

後は、中途半端に入っている主人公の声が問題ですね。

要所を押さえた「パートボイス」と謳ってはいますが、

いきなり一部分だけ声が入ったり入らなかったりで、

本当に中途半端です。

 

それに声優さんもミスキャストでしょう。

17.8の男の子のはずなのに、

地でいる時ですら、何処からどう聞いても完璧に女の子声。

「僕…」と言っている時に物凄いギャップがありました。

少年の声もされている声優さんを選ぶべきだったでしょう。

主人公のイメージともいまひとつ合っていなかったと思います。

 

下手な方ではないのですが、元気のある女の子が得意な方だと思いますので、

優美で、楚々と可憐な(?)主人公には似合いません。

精一杯主人公に合わせようとしているようですが、

殆ど棒読みになってしまって、声優さんの声の魅力が激減しています。

あれなら、全くなかったほうが良かったと思います。

 

 

プレイ時間は、全エンディング、全ヒロイン全CGを

フルコンプリートしての時間です。

私のプレイ時間は長いのですが、

そもそも全ヒロインを攻略するゲームではありませんので、

普通は20時間弱ぐらいになると思います。

共通シナリオも多く、水増ししている感が否めません。

もっと早くに分岐し、ヒロイン特有のイベントがもっとあったのなら、

かなり評価は上がったと思うので、非常に残念なものがあります。

 

ただ、各ヒロイン、キャラクターはとても魅力的なので、

一人二人のヒロインを、一通りやってみる分には良いでしょう。

特筆すべきは、主人公がヒロインを食ってしまうほどの可憐さです。




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