乙女はお姉さまに恋してる Portable

〜2人のエルダー〜

 

一言レビュー

お嬢様学校と男の娘が好きなら良作

 

グラフィック 9点
シナリオ 8点
ボリューム 7点
快適さ 8点
満足度 8点
総プレイ時間 38時間
総合評価 80点

 

 

それはちょっとしたボタンの掛け違えから始まった。

いつの間にか一人、クラスの中で孤立していた御門千早は

学校へ行かなくなって一年がたとうとしていた。

前に進もうとしない息子に業を煮やした母親は、聖應女学院への転校を命じる。

もしこれに応じなければ勘当だという母親に、

精神的に不安定な母を守る自分が

この家に出入りできなくなることにより、

結果的に彼女が頼れる者がいなくなることを危惧する千早は、

しぶしぶ侍女の史を連れて母親の姓「 妃宮 」千早の名前で

聖應女学院の女子寮から学院へ通うことになった。

 

銀の長い髪に紫の瞳、女性的な容姿に華奢な身体。

転校前の母親のスパルタ教育もあり、

優雅で気品漂う完璧なお嬢様を演じ続けるうちに、

学園中から崇拝されるエルダー候補へ祭り上げられてしまう。

最終的に七々原薫子と同票になった二人は

生徒会長の皆瀬初音の提案により、学園初のダブルエルダーとして

この一年を過ごすことになった。

 

という、相変わらず女装全開、百合色濃厚な設定のストーリーです。

お姉さま、女子高、美少女、お嬢様、美少年の女装

というものからこちらがイメージし、

期待するものに万全の体制で答えてくれるところは前回同様。

独特の設定が魅力的ですね。

 

ヒロインは6名。

哘雅楽乃と神近香織が降格でサブキャラクターに、

皆瀬初音と柏木優雨が昇格でヒロインとなっているのが要注意です。

 

今回も一月一話というタイプで、10話+αとなっています。

明確に分岐するのが9話からで、実質的にヒロインルートは2話のみと、

共通ルートが長く、ヒロインルートが短いという

特徴的なところは前作同様なのがちょっと残念ですが、

今回は大幅にテコ入れがされています。

前回ではそのときいるキャラクターが違うのみという

金太郎飴的な共通ルート・ヒロインルートがかなりあったのですが、

幾つかのイベントが複数パターンに分岐するようになっており、

またこの展開か…ということがあまりなくなっています。

がらりと変わるストーリーが結構面白かったですね。

 

ヒロインルートはコンパクトながらよくまとまっており、

各ヒロインの良点や設定を生かしつつ、

家族の愛情をモチーフに語られていくストーリーは

ほろりと来るものもあり、上手に感動要素を盛り込んでいます。

 

問題なところを上げると、サブタイトルの

「2人のエルダー」ということが生かされていない点でしょうか。

文武両道な千早と、運動神経抜群の薫子がエルダーとなるわけですが、

完全に薫子が添え物となっており、千早ばかりが目立ってしまっています。

そもそも運動神経が良い薫子にしても、

勉強面はもちろんのこと、運動面ですら千早にかなわず、

そして薫子が活躍する場面がほぼ皆無なので、

2人をエルダーにした意味があったのだろうかと疑問を覚えます。

これでは千早に票を譲って千早一人がエルダーだったとしても大して変わりません。

静の千早、動の薫子と並び称されるのならば、

運動面に関しての活躍は薫子に譲るべきでした。

また、今回昇格ヒロインとなっている二人の9話が

共通になっているのはちょっとどうかと思います。

 

 

 

アドベンチャー系に必要なシステムは基本的に揃っています。

コンパクトながらよくまとまっていますね。

設定できることは少ないのですが、メッセージ表示速度、

オートモード時の速度も微調整可能です。

概読スキップ機能がシステムに一応ないのですが、

次の選択肢へというシステム画面のコマンドを選ぶと、

数秒待たされるものの、次の選択肢、または未読文章まで

一気にスキップしてくれるシステムは大変優秀です。

一応これが既読スキップになりますね。

共通ルートが長いものの、ヒロイン毎で被るところが少なく、

一ヒロイン終了後はかなりプレイ時間を短縮してくれる優秀なスキップです。

また、今回のメモリインストールがとても優秀であり、

容量を結構取るものの、PSPのシャーク音がほとんど聞こえなくなります。

メモリインストールをしていないとセリフごとにシャーク音がするため、

メモリインストール推奨です。

UMDは2枚あるのですが、2枚目はインストール専用であり、

ゲーム中はディスクを入れ替える必要はありません。

 

使いにくいのはセーブデータぐらいでしょうか。

クイックセーブ、クイックロードはありません。

また、同じアイコンに話数、一行のセリフとプレイ日時しか表示されないため、

どれがどれかわかりにくいです。

ただ、スキップが優秀なため、セーブは基本ひとつでよく、

あまり問題がありません。

 

CG閲覧モードですが、前作よりはましになっているものの、

やはり今作も見にくくなっています。

一応おおざっぱには時系列に並んでいるものの、

全ヒロイン共通で8ページになっています。

特定のCGが探しにくいため、やはりヒロイン毎に分けてほしいですね。

 

選択肢にはヒロインのミニアイコンがついており

どのヒロインの好感度を上げる選択肢か一目瞭然ですので、

ゲーム性はほぼありません。

 

 

グラフィックですが、目が特徴的な萌え系の絵ながらも、

比較的万人受けするタイプ。

可憐で透明感のある表情は前作よりもさらにアップしており、

とても華のある綺麗なイラストです。

作風に良くあっているイラストで優雅。

お嬢様学校という雰囲気にぴったりですね。

立ち絵とCGの差もほとんどありません。

ただ、等身のバランスが頭にあり気味で、

ウエストが極端に細いのと、主人公の千早が男装している時も

女性に見える点がちょっと気になるでしょうか。

エンディング後のCGは髪を切ってしまっても

良かったのではと思うぐらいなのですが、

まとめもせず、長い髪を流しているためなおさらそう見えてしまいます。

 

CGの枚数は差分抜きで123枚。

そのうち9枚がデフォルメイラストで小さいのですが、

ボリュームが少なめの割には枚数が多いです。

差分を入れると382枚と、十分すぎる枚数がありますね。

問題ないと思います。

 

 

プレイ時間は、全エンディング、全ヒロイン全CGを

フルコンプリートして約38時間です。

一応おまけシナリオもプレイしているのですが、

スウィート・パニックがどうしても最後の戦闘が勝てないために未クリアです。

プレイ時間が表示されないため、正確なプレイ時間はわかりません。

 

共通ルートが長く、ヒロインルートはかなり短いものの、

コンパクトながらも上手に仕上げており、

シナリオ面でも満足の行ける作品でした。

また、スキップが優秀であったことと

シャーク音が極端に少なかった(メモリインストール時)点も

快適さに一役買っており、ストレスなく全ヒロインクリアできました。

 

どのヒロインも良いシナリオでしたね。

女装してお嬢様女学園へ通うというコンセプト、

あるいは千早のビジュアルに心の琴線が震える方は是非。

雰囲気ゲーですが、シナリオもかなり良かったと思います。

今回も主人公がヒロインを軒並み喰ってしまう優美さです。

ヒロインたち、ビジュアルで主人公に負けてしまっていますね。



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