乙女理論とその周辺

 

Bon Voyage

 

一言レビュー

前作の設定の活かし方が上手い

 

グラフィック 8点
シナリオ 7点
ボリューム 7点
快適さ 9点
満足度 8点
総プレイ時間 31時間
総合評価 79点

 

 

 

注 意

前作のBAD END後から始まりますので、

以降のレビューは前作「月に寄りそう乙女の作法」の

盛大なネタバレを含みます。

それでも良い方は下へお進みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うっかり風呂場で寝てしまうという大失態を犯した遊星は、

知らずに風呂場に入ってきたメイド長の山吹八千代に体を見られてしまい、

男であるとバレて桜屋敷を追い出されてしまった。

ショックのあまりふらふらと街を彷徨う遊星を捕まえた兄衣遠に

料理係として世界中を連れまわされ、笑顔が消えた日々を送っていた。

そんな時、衣遠が大蔵本家で行われる晩餐会に出席するにあたり、

日本に連れてこられた遊星は、妹りそなの側に置かれることになった。

笑顔を取り戻した遊星は、りそなから、そっとささやかれる。

 

「もう一度、服飾の学校へ通う気はありませんか?」

自分の引きこもりを何とかしたいと思っていた妹は、

新天地を求めてパリのフィリア女学院に留学するという。

何しろ筋金入りの引きこもりであり、

一人で学校に通うには無理があるりそなに、

兄の元から逃げ出して、自分の傍付きのメイドとして、

共に学校へ通ってくれないかと提案され、

消えかけていた火を再び灯された遊星は、

9月、今度は大蔵りそなのメイド「小倉朝日」として、

再びフィリア女学院パリ本校へ通うことに決めたのだった。

 

という、一度は翼を折られたものの、

妹の引きこもり脱却とデザイナーを夢見て

今度は新天地のパリで、再び奮闘することになります。

 

滑り出しや大蔵家の確執は暗いながらも、

明るく、慎ましく、一生懸命で意外とオールマイティな主人公と、

人見知りが激しい妹とパリで服飾の勉強をしつつ、

大蔵家の深い闇と跡目相続に深く切り込んでいくという作品であり、

前作よりもさらに世界観を掘り下げています。

とんとんとテンポよく流れる会話の妙が素晴らしく、

小気味よいセリフ回しと個性の強いキャラクターとの

掛け合いが楽しい作品です。

 

終盤への怒涛の追い込み、そこから一気に

進んでいく緊迫感あふれるシナリオと、

起承転結、コメディとシリアスのバランスも良く描かれています。

衣遠や父真星との確執も上手に昇華されており、

前作でやや消化不足になっていた衣遠との関係、

また従弟たちとの繋がりの描きかたも抜群で、

前作と今作でセットであるという印象が強い作品です。

前作の設定の活かし方がうまいですね。

 

今作のヒロインは3人と少ないながらも、

全ヒロイン丁寧に描かれており、

ボリュームの差異はあるものの、どれも高ランクで纏まっています。

最終シナリオのギリギリまでどのシナリオも良い出来であり、

その分、一部シナリオの最後のあまりにあっけない解決方法に不満が残ります。

どうにも都合よく進んでしまうのが難ですが、

それまでのシナリオは文句なく良かっただけにそこが少しだけ残念です。

なお、原作のあまりにも評判の悪かったエッテエンドは削除され、

ファンディスクの「その後の周辺」で追加された

アナザーエンドが採用されているのは良い判断だったと思います。

 

また、前作の月に寄りそう乙女の作法の

全ヒロインのアフターストーリーも完備されており、

ボリューム的にも問題ありません。

(アフターをプレイするには前作のセーブデータが必須)

それぞれのシナリオは彼女たちの特色を生かして、

とても上手に描いたアフターだと思います。

 

 

 

システムはかなり高クオリティ。

基本的には前作と一緒なのですが、

アドベンチャーに必須のシステムは一通り揃っています。

オートセーブ、クイックセーブ、履歴からのジャンプも完備。

シーンスキップがあるのは便利でした。

セーブはその時の画面とプレイ日時、ゲームの大まかな日付、

その時のテキストが2行表示されており、分かりやすいです。

 

今作ではオートモード中に何も操作しなければ

光度が落ちるというVITAの欠点の制御が追加されており、

ストレスのないシステムになっています。

唯一の欠点はテキストフォントが小さすぎるということぐらいでしょうか。

もうちょっと大きめの字だったらもっと良かった。

 

 

 

グラフィックは二人の絵師を採用しています。

今回は大分二人の絵師の魅力の差があまりわからなくなっていますね。

立ち絵のクオリティも問題なく、

両者の担当キャラクターが並んでも問題ないようになっています。

 

 

CGの枚数は差分抜きで100枚。

ボリュームがそこそこですので枚数は普通のレベル。

ただ、ギャラリーには収録されていませんが、

前作のCGが何枚か表示されていましたので、

実際の枚数よりも多く感じます

差分はやや少なめに感じますが、前作ほどには感じません。

今回は西又葵氏が大分構図やドレスデザインを頑張ったと思います。

ただ、ドレスデザインに関しては、

西俣氏の担当はやはり見劣りするものがあったのは確か。

色の塗りは透明感があり、ふんわりとやわらかな

艶のある綺麗な塗をしています。

背景もとても豪華に凝って描かれています。

 

 

 

プレイ時間は約31時間程度。

時間が表示されないタイプで正確な時間が分かりませんので約の時間です。

アフターストーリーを全プレイし、プラチナトロフィーを取得しています。

アフターストーリーをクリアしなくても

プラチナトロフィーを取得できるのは、

前作をプレイしていない人への配慮でしょうか。

 

前作の設定を上手に使い、見事に昇華した作品です。

まさかあのBAD END後の話で、

これほど話を膨らませて、上手く纏め上げるとは思いませんでした。

前作のファンディスク的なものを想像していただけに、

嬉しい誤算でしたね。

明るくテンポよく進む、会話の掛け合いが実に楽しい百合風コメディです。

その分、終盤での展開にやや不満が残るものの、

それまでのシナリオはレベルが高いです。

前作プレイがほぼ必須なものの、

こういうジャンルが好きならばお勧めです。




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