ポポロクロイス

〜月の掟の冒険〜

一言レビュー

苦痛極まりない最凶の基本システム

前作の「ポポロクロイス　はじまりの冒険」の続編のストーリーです。

ですので、前作をプレイしていない方はさっぱりだと思います。

ポポロ初心者お断りになっていますので、

最低でも前作をプレイしていることが前提条件となっています。

ストーリーはさすがポポロクロイス。

上手に感動要素を織り込みながら、

まるで絵本を見ているかのような、心温まる、

ほんわりとした実にポポロらしいストーリーだと思います。

今回は度々出てきていた月の掟に焦点を絞り、

それがどれほど辛いことなのか、丁寧に綴られています。

親子の深い情愛と厳しい掟。

綺麗に、美しく、そして切なく描かれるストーリーは実に巧み。

感動要素もきちんと盛り込まれており、

かつわざとらしくないのは声優さんの名演の賜物でしょう。

特にセレーネの終盤の演技は実に良いです。

主人公達が子供で、人の話を簡単に信じすぎるのは

ちょっとどうかとも思いますし、

ストーリーはシンプルかつ王道で先の見える展開ですが、

各キャラクターは生き生きとしており実に魅力的です。

世界観の構成はさすが長寿シリーズ。

しっかりとした設定の上に築かれた深みは素晴らしいですね。

世界観もとても魅力的だと思います。

まず戦闘のシステムについてですが、

複雑ではないものの、良くできていると思います。

戦闘は敵味方ともに、素早い順からターンが回ってきます。

左上にどの順番で回ってくるのか分かるバーが表示され、

バーの上側にはアイテムやお金、またＨＰやＭＰ（戦闘後に回復）のアイコンが、

バー下側にはキャラクターがターンの回ってくる順に表示されています。

これが結構面白い。

上側のアイコンは時間が経つごとに少しずつ減っていきます。

残っているアイコンのみが戦闘終了後に獲得可能であり、

つまりは早く戦闘を終わらせれば終わらせるほど、

多くのものを得られるわけです。

派手に協力技を使って戦闘を早く終わらせるか、

ＭＰを温存するかわりに戦闘後のアイテムを犠牲にするかを

プレイヤーに選ばせ、考えさせているわけです。

これにより戦術を考える必要性が出来、結構面白いですね。

攻撃方法は直接攻撃、特技、協力技とあり、

ターンが回ってきても行動せずに時間を経過させる事も可能で、

ターンが回ってきてから時間がたつごとに攻撃力がＵＰするようになっています。

戦闘パーティーは３人で、２人以上の人物が行動可能な

アクティブ状態になると協力技が使用可能になっています。

協力するのが必ず決まったキャラクターでなければならないものもあり、

各キャラクターの性格を生かしたモーションは

実にポポロのキャラクターらしいのですが、

戦闘にそのキャラクターがいるというのが前提条件になっていて、

その協力技が使い辛いのがちょっと難ですが、

他にもキャラクターが決まっていない協力技が結構ありますので、

それ程不自由ではありません。

ただ協力技のバリエーションがあまりないのはちょっと残念ですね。

また、協力技のモーションがキャンセルできないのも駄目な点。

しかもそのモーションがかなり長く、

１５〜２０秒ほどかかるのが実に辛いです。

システムでモーションをシンプルモードにできるようにして欲しかったと思います。

とにかく戦闘を長々と続けなければいけないゲームですので、

最低限ボタンでキャンセルできるようにして欲しかったですね。

そして、戦闘の難易度は非常に高め。

可愛らしいキャラクターとそれを生かしたストーリーとは真逆に、

異常に厳しい難易度です。

次のダンジョンに進むたびに難易度が一気に跳ね上がり、

前ダンジョンでは楽勝だったのに、

次ダンジョンでは雑魚敵でもボス並の全力を出さなければ勝てず、

セーブポイント（ＨＰ・ＭＰが回復できる）周辺から

数時間ほど離れられません。

前ダンジョンで倒したボス並の雑魚敵が出てきたことがあったのには

開いた口がふさがらなかったぐらいです。

新しいダンジョンに進むたびに数時間のレベル上げが

必ず強要されるのは実に厳しいですね。

サクサク進むのが好きな方には絶対に向きません。

そして戦闘に参加していないキャラクターには

一切経験値が割り振られないというのも非常に辛いです。

ダンジョンによっては必須参加キャラクターが結構いるので、

全員をきちんと育てていないと後で泣きを見ることになります。

全員を満遍なく育てるためにレベル上げの戦闘時間が増大し、

ストーリーや戦闘を楽しむ、という醍醐味を大幅に削いでしまっています。

ストーリーを楽しみたい方には実に辛い難易度だと思います。

戦闘に関しては甘く見てはいけません。

さて、他のシステムなのですが…。

これはどちらを見ても最凶・最悪です。

まずローディングですが、異常に長いです。

通常１５秒前後のローディングが入ります。

しかもかなり多く、家に入ってロード、二階に上がってロード、

下に降りてロードと常に小刻みに、かつ大幅なローディングが入り続けます。

これを我慢できない方はプレイすべきではありません。

戦闘も切り替わるのは早いのですが、敵味方にカメラがぐるりと回り、

アイコンバーが表示され、結局こちらにターンが回ってくるのは１０秒ほど後と、

画面が表示されるのが速くなっただけで

戦闘が始まるのは亀のように遅いです。

ましてやこの戦闘が膨大に強制されますので、

全ダンジョンクリア後にはとんでもないローディング時間になります。

そして今回加わったフリックというシステム。

これが物凄く難易度が高く、かつイライラさせられます。

風や火、爆弾やフルーツといったアイテムを

キャラクターがモーションをして飛ばし、物に当てて落としたりするのですが、

キャラクターごとに飛ぶ軌跡が違っており、

またちょっとした角度や力の込め具合で当たらず、

当たったとしても宝箱が取れる位置に落ちてこないと、

多大なるストレスを与えてくれるシステムです。

２００回もチャレンジしてやっと宝箱が取れた時はもう、

達成感よりただただ泥のような疲労感が残っただけでした。

ゲームでストレス発散をし、娯楽として楽しみたいのに、

ストレスを与え続けるゲームはどうかと思います。

宝箱は取れないのなら取らなければいいのですが、

フリックがダンジョンをクリアするためのギミックとして

必須に組み込まれているダンジョンが結構あり、

高い難易度とあいまって非常に苦痛です。

ダンジョンのギミックを解くのに１時間もフリックし続けたときはもう、

頭がくらくらしました。

楽しさなど皆無で、ただただ辛いシステム。

ここまで難しくした製作者側をかなり怨みました。

二度とやりたくないシステムです。

次回作は（あるのならですが）このフリックはなくして欲しいです。

また、アイテムを取った後の宝箱がきちんと閉まり、

もとあったままそこに置かれるのはわけが分かりません。

宝箱が閉まっていて、入っているものと空っぽのものの区別が全く付かず、

何度も同じ宝箱を開けたりしましたので、

取った後の宝箱は消すか開けっ放しにして欲しかったです。

次ですが、オプションが保存されません。

例えば文字の表示速度を変えても、

次回プレイ時には必ずデフォルト設定になっており、

毎回設定しなおさなければいけないというさっぱり理解できないシステム。

オプションで変えられる設定そのものはごく僅かですので、

このぐらいの保存は当然出来るようにすべきでした。

そして自由度はほぼ皆無。

基本的に先へ先へ進むのみで、以前のダンジョンには基本的に戻れません。

とにかくストーリーを進めるのみ、サブイベントはほぼなしと、

自由度を求める方にはこの辺は大変厳しいと思います。

グラフィックは、元の魅力的なイラストを殆ど損ねず、

上手に３Ｄ化されており、

シンプルながらもとても良くできていると思います。

装備しているアイテムが戦闘とムービーに

反映されているのは素直にすごいと思います。

このシステムは良かったですね。

ただ、動きもとてもシンプル。

人物の表情もあまり多くはなく、動きも少なく、

ムービーではバストアップや人物の表情のアップが多く、

モーションが少なかったのは非常に残念でした。

３Ｄ自身はとても可愛らしく、

荒いものの雰囲気が良いのに、その辺はとてももったいなかったですね。

プレイ時間は、一通りクリアしての約の時間です。

プレイ時間が表示されないために正確にはわかりません。

プレイ時間は結構あるのに、その内訳は実は三分の一はロードで、

もう三分の一がレベル上げの時間という感じで、

実際のストーリーはとても短いです。

マップ数もさほどなく、ストーリーを進めるために戦闘をやらされている、

ロードをぼ〜っと見せられているゲーム。

あまりの苦痛に途中で数年積み、

再度プレイするのにかなりの勇気が要りました。

ですので、満足度は非常に低くなっています。

そして、とにかく基本的なシステムはあっちもこっちも大変出来が悪く、

どこを見ても苦痛極まりないように仕上がっています。

唯一良かったのは戦闘システムぐらいでしょうか。

こちらの我慢と忍耐を試すゲームですね。

プレイヤーがどこまで我慢できるか、試したかったのだろうかと

勘ぐってしまうぐらい酷い出来です。

開発者の、「どうして１５秒ぐらいのロードが我慢できないんだ」

という高飛車な声が聞こえてきそうです。

「どこに出しても恥ずかしい」システムは特筆すべき点です。

「ほぼ常に１５秒ロード」が我慢できない方は

決して手を出すべきソフトではありません。

私が快適さ０点をつけたのは伊達や酔狂ではなく、

製作者側がこれでいいと考えたことそのものが驚愕に値します。

正に極悪というべきシステム。

シリーズファンでも、とてもとても薦められるレベルにありません。

というより、止めておいたほうがいいと忠告したいぐらいです。

このゲームシステムでなんとも無いという人は、

どのゲームでも快適にプレイできるかと思われます。

今は非常に安価にこのソフトは売られていますが、

溢れるばかりのポポロクロイスへの愛と、

我慢と忍耐と不屈の根性があっても、

クリアまで漕ぎ着けるのはなかなか難しいと思います。

どうしてもストーリーを知りたいという方は、

悪いことは言わないのでＤＶＤ化されているアニメを見ましょう。

アニメ独特の要素も加味されていますが、

ストーリーはゲームのものを忠実に再現しており、

（諸般の事情でごく一部のみカットだか、あそこは無くっても良かった部分）

声優さんの名演でなかなか良くできたアニメーションで、そちらは楽しめます。