雷子

 

 

一言感想

シミュレーションパートはおまけ

 

グラフィック 6点
シナリオ 9点
ボリューム 5点
システム 6点
快適さ 7点
満足度 9点
総プレイ時間 17時間
総合評価 75点

 

 

 

ある日母親に言われて孔雀池に魚を釣りに来たキョウは、

不思議な美女と出会った。

人を待っているのだが、それまでの間暇なので、

キョウが釣りをしているのを見物しても良いかと問う彼女に、

キョウは快く了承した。

しばらく後、彼女が池を指さして、不思議そうにキョウに

「この池はいつも底が光り輝いているのですか?」と問うた。

そんなわけはと思って改めて池の底を見てみると、

確かにきらきら光るものがある。

池に飛び込んで確かめてみれば、

光を放つ、銅で作られた孔雀「銅雀」があった。

 

これはなんだろうかと子細に眺めるうちに、

その銅雀は眩い光を放ち、いつしかキョウは

知らない森へと一人立ち尽くしていた。

そこで出会った、盗賊討伐に来ていた張飛に連れ帰られ、

劉備軍の見習い軍師になります。

 

 

三国志を元にしたSRPGです。

大分オリジナルが入っているそうなのですが、

私自身はそもそも三国志を読んだことがない上に、

大まかなストーリーも知りませんので、

それを踏まえてこちらのレビューをご覧ください。

 

最初は蜀から、そして蜀が終了後、呉、魏の立場から、

同じ時間軸の違う軍の立ち位置でどのような事が展開されていたのか、

あの時どうしてこうなったかというのを丁寧に見ていくことになります。

それが結構面白く、興味深いです。

それぞれに、それぞれが戦う理由があり、

自分が見ていない他軍にはこのようなドラマやストーリーが

展開されていたというのが様々な角度から見られ、

丁寧にストーリーを補完していくのが非常に上手い。

そして、それを踏まえて最終シナリオに進む

という趣向も素晴らしいですね。

 

ストーリーはあくまでもテンポ良く、

キャラクター達の独特の魅力と会話の妙も相まって

サクサクと進んでいきます。

そしてアドベンチャーパートに疲れた頃に

タイミングよくシミュレーションパートが入るため、

緩急が効いていて次々とストーリーを進めていきたくなります。

あくまでもシミュレーションパートはおまけであり、

ストーリーをわかりやすくするためと、現在どのような場面にあるのか、

というのを明確にするためにあるようなものなので、

シミュレーションパートを期待してプレイすると

がっかりすることになります。

 

 

 

シミュレーションパートなのですが、

個別のレベルというものは存在せず、

全体の軍レベルということになります。

負けても勝っても1レベルずつ上がり、

何度も同じシナリオをクリアすると、

クリアするたびにレベルが上がっていきます。

 

クリアできないのならレベルを上げて殴ればいい

というのが究極の攻略法であり、そこにほぼ戦略性はありません。

一部難しいマップもありますが、基本的にレベルを上げればどうとでもなります。

面倒ならばオートで勝手に動かしてもらうという手もあり、

シミュレーションパートは全く期待せずプレイしなければなりません。

 

 

 

システムですが、基本的なところは抑えていますね。

ただ、一画面でシステム画面が全部収まるほどしかありません。

出来ればオートモードの速度調整も欲しかったものの、

殆どがボイスのみで進行していくので問題ありません。

ボイスは本職と素人が混じっていて、

上手い下手の差が激しいのですが、小さな会社で

これだけ多数の声優さんを使用しなければいけなかったので、

それも仕方がないかもしれません。

オートセーブタイプであり、こちらでセーブはできませんが、

どのシナリオも何度でもプレイ可能になっているので問題ありません。

シミュレーションパートを何度もクリアするために、

アドベンチャーパートが一気にスキップできる機能は便利でした。

 

 

 

グラフィックは立ち絵が非常に魅力的。

各キャラクター色々な衣装や顔立ちの人物がいて、被る人物がいません。

主要キャラクターが大分女性化しているせいもあるかと思いますが。

大胆に衣装デザインをしており、中華風の枠に囚われず、

和風や洋風の人物もいるのはいいですね。

華のあるデザインで非常に見栄えがいいです。

ただ、もともと3DSで制作されただけあって、

立ち絵の線の汚さが目立ちます。

もうちょっと線を綺麗に修正してくれても良かったと思うのですが。

 

そして極稀にCGよりも立ち絵の方が魅力的

というゲームが存在するのですが、

こちらもそれに見事に当てはまります。

全CG、立ち絵の方が圧倒的に魅力的なのが非常に残念。

中には大分雰囲気が違うキャラクターもおり、

そして戦争をしているので仕方がないのですが、

陰惨なCGが多数存在します。

塗は水彩画風ですが、特に問題ありませんね。

作風に合っていると思います。

 

そして非常に残念なのが、シミュレーションパートのグラフィック。

スーパーファミコン〜PSレベルです。

マップの造作、塗はもちろんのこと、

ユニットのドット絵がとても簡素な出来。

立ち絵のキャラクタービジュアルと違い過ぎて、

目当てのキャラクターを探すのが少々面倒でした。

 

 

 

 

プレイ時間は、最初頃にレベル上げをして、

とんとんとストーリーを進めて17時間程度。

プレイ時間が出ないタイプですので、正確な時間はわかりません。

プラチナトロフィーを取得しています。

 

小さな会社らしく、慎ましく、謙虚でいながらも

製作者側の遊び心が随所に顔を出す作品です。

同人の延長上にできたような作品で、

シナリオ以外は全体的なレベルも高くなく、

シミュレーションパートはあくまでも

アドベンチャーパートを補完するものなのですが、

何故だか不可思議な魅力があります。

点数以上のポテンシャルを感じる作品ですね。

 

「プロデューサー いません。」

とエンディングテロップで出た時は我が目を疑ったとともに、

今後どのような物が出てこようとも

このシリーズは最後までついていくと誓いました。

 

どうも表現しづらいのですが、独特の魅力がある作品であり、

非常にテンポ良く遊べるゲームです。

どこかのレビューに「隠れまくった名作」と書かれていましたが、

正に言い得て妙だと思いました。

四部作を予定しているらしいですが、

最後まで完走してくれるかが唯一心配です。




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