葬送鬼レギナルト

 

一言レビュー

極端に短いのと続編有りきが難点

 

グラフィック 8点
シナリオ 9点
ボリューム 3点
快適さ 10点
満足度 8点
総プレイ時間 8時間
総合評価 78点

 

 

最後に残った家族の妹とも死に別れたレギナルトは、

煙霧が厚く街を覆う大都市フェイトデリーにいつしか彷徨いこんでいた。

空腹にたまりかねて双子の姉妹を襲ったが、

敢え無く2人に返り討ちにされてしまう。

有無を言わさず屋敷へ連行され、お風呂に放り込まれ、

食事を振舞われたレギナルトは

一飯の恩義として双子の実家の仕事

ツアンバッハ葬儀社の家業を強制的に手伝わされることになった。

 

という、人にあらざる者「 吸血鬼 」として

人につまはじきにされ、その出生の為に山奥に住んでいたレギナルトが

最後の家族を失ったことにより、

人里へ降りてきた部分からストーリーは進んでいきます。

 

そこは魂が輪廻する世界。

だが何がしかの理由で魂が欠けると、輪廻の輪へと乗ることができず、

鬼(ペイガン)としてこの世界にとどまり、

死んだばかりの体を求めて彷徨い出、

周りの者たちへもなりふり構わず襲い掛かるようになります。

それを撃退し、上手く魂を輪廻の輪に乗せるため、

その処理を行う教会まで遺体の護衛をするのが葬儀社であり、

そのメンバーを主軸に物語は語られていきます。

全二話であり、一話目はレギナルトが葬儀社のメンバーと出会うお話、

次が葬儀社のメンバーとなったレギナルトが

次の仕事にかかわるお話となっておりますが、

一話目が出会い編と話の導入部、

2話目がちょっと探偵風のお話となっています。

 

基本的にバトルが中心となっているようなお話で、

ストーリーは躍動感あふれ、心躍る展開で爆発的な起爆力があります。

プレイヤーを一度お話に引きずり込めばがっちり掴んで離さない独特の魅力があり、

とにかく続きが気になるストーリーは素晴らしい。

文章自体もテンポよく進み、読み進めやすい

キネティックノベルとなっているのですが、

最大の難点がとにかく極端に短いこと。

8時間で定価3990円とは、ボリュームが明らかに足りません。

このボリュームでこの値段は正直非常に厳しいと言わざるを得ないでしょう。

最低限この倍以上、20時間ぐらいは欲しかった。

また、あくまでも10冊ぐらい、あるいはそれ以上ある本の

1話と2話のみという形式となっておりまして、

続編有りきという作りになっています。

人気があれば続編なり単行本なりが作られるかと思われますが、

この辺の作りは賛否両論分かれるかと思われます。

音楽も12曲、その内1曲はオフボーカルバージョンとなっておりまして、

実質的に11曲と少ないのも気になります。

 

ストーリーは一応完全新作になっておりますが、

コーティカルテ、フォロン、双子といったどこかで見たメンバーがおりますので、

完全と言っていいかちょっと悩んでしまいますね。

上記キャラクターが特にお気に入り、という方は嬉しいかもしれませんが、

新作なのにこれでいいのだろうかという疑問もあるのは確かです。

 

 

システムはほぼ完璧です。

ポリフォニカの物を大方踏襲しており、

細かい設定がこれでもかと言わんばかりに行えます。

フォントが機種依存ではなくなっているのがちょっと残念ですが、

それでも20種類以上あります。

画面の微妙なサイズの変更可能、

音声の調整も細かなところまで調整可能と、ほぼ隙のないシステムです。

少々難点なのが履歴からのジャンプができない点ですが、

ブックマークという機能が搭載されており、

各センテンス(全20個)からストーリーを進められるようになっておりますので、

自分の好きなシーンから始めるのにあまり苦はありません。

 

 

 

グラフィックですが、今回も大変美麗ですね。

立ち絵とCGにも違和感なく、非常に安定していると思います。

ただし、衣装バリエーションはあるものの、

立ち絵は基本的に一人一パターンであり、

双子しか多数のバリエーションがないが残念です。

せめて一人3パターンぐらいのポーズバリエーションが欲しかった。

表情バリエーションに関しては特に問題ないと思います。

 

CG枚数は差分抜きで24枚。

そのうち2枚が鬼のCGですので、実質的には22枚です。

枚数的には普通ですが、差分が少ない目なのが気になるところ。

彩色は華があり、透明感のある塗で安定して美しいです。

CG自体の構図の華やかさも相まって、

この辺のクオリティはかなり高いです。

 

 

 

プレイ時間は8時間。

声を全て聞いていますので、

声を飛ばされる方は4〜6時間前後ぐらいになるでしょうか。

 

とにかくこの値段では極端に短い。

サントラがついてくるものの、全13曲、実質12曲ですし、

このボリュームでしたら2000円〜2500円程度が妥当だと思います。

また、ポリフォニカのように続編有りきで作られているのも気にかかります。

要するに、これ単体では全然完結されておらず、

複数の作品にまたがるのが前提となっております。

ストーリーは素晴らしく良く、熱いバトル部分も相まって、

その部分は絶賛したいものの、

短い、続き物という二点が物凄く足を引っ張ります。

上記二点を承諾できるのならば全力でお勧めできるのですが、

そうでない方は厳しいでしょう。

 

私自身はとても気に入りましたし、

この会社の作品のストーリーと絵という、

二点に関してのクオリティはかなり信頼しており、

またこの会社自身も応援しておりまして

純粋に続編を楽しみにしておりますが、

なんとも人に勧めにくい作品ですね。

こういうタイプの形式が好き、ポリフォニカが好きという方で、

ボリュームの足りなさは気にならないという方ならばハマれると思います。




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