リベリオンズ

Secret Game 2nd Stage

 

一言レビュー

セカンドステージからが勝負

 

グラフィック 6点
シナリオ 9点
ボリューム 6点
快適さ 9点
満足度 9点
総プレイ時間 21時間
総合評価 84点

 

 

目覚めたのは、まだ薄暗い森の中だった。

何者かによって拉致され、森の中に放置されていた藤田修平は、

持たされていたPDAと首輪を気にしながら、場面の打開のために歩き出す。

すぐに出会ったはるなを連れて、

この「ゲーム」のルールを教えてくれ、

質問に答えてくれるという施設へ向かった。

そこに待っていたのは高校生の複数の男女。

見れば幼馴染で修平の最も大切な人物、吹石琴美もその中にいた。

 

しばらく待ってスピーカーから流れてきた男の言葉は、耳を疑うものだった。

ここにいるのは半数ほどだが、

実際には14人の男女がこのフィールドに集められている。

与えられているPDAには、AからJOKERの14枚のカードがあり、

カードごとに違っている、ゲームのクリア条件と特殊機能が搭載されている。

食糧の類はすべて見た目でわからないように偽装されて埋められており、

その場所を知るには森の至る所に隠されたメモリーチップが必要だった。

終了時間はスリリングなゲームになるように秘密にされており、

終了24時間前になると、PDAにメールで連絡される。

PDAを身の回り1M以上離した状態で3時間経過するか、

クリア条件に反する行動を取るか、

クリアすることが不可能になるか、

この森と廃村の決められた範囲から出ると

首輪に仕掛けられている爆発物で容赦なく殺される。

それ以外には何をしても自由であり、許されるといったことだった。

 

今一つ信じられない者たちに、運営者は隣室へ向かうように示唆する。

みんなで向かった先にあったのは、山と積まれた本物の死体だった。

青ざめて戻ってきた者たちに、

運営者は前回のゲームで死亡した者たちの死体だと冷やかに告げる。

 

互いが信じられない者たちはバラバラになり、

それぞれ自分のクリアを目指して散っていった。

与えられていたクリア条件は比較的皆温和なもの。

だが、まるでそれは決められたことかのように、運営者の思惑通りに動きだす。

そして、ある特定の条件が起こった時。

セカンドステージへと事態は移行し、

クリア条件は殺人を前提とした殺伐としたものへと変更されていた。

今、殺戮の火ぶたが切って落とされる。

 

 

という、前作のシークレットゲームと世界観を同じとする、バトル・ロワイアルです。

前作では閉鎖空間でしたが、今回は森と廃村という

外部フィールドが舞台になっています。

 

最初は緩いクリア条件なのですが、

疑心暗鬼になった者たちは協力することを拒んだり、

当初は協力していても、途中で意見を異にして離脱したりして、

それぞれバラバラに分かれていきます。

その中では人を殺しても問題ないという人物が混ぜられており、

ある特定の条件をトリガーに、

殆どが誰かが死ぬことを条件としたクリア条件に更新される、

セカンドステージへと雪玉が転がり落ちるようになだれ込んでいきます。

 

今回はエピソードごとにヒロインがいるのではなく、

メインヒロインは琴美で固定になっています。

その代わりとしてメイン主人公は藤田修平なのですが、

実は全員が主人公ということになっており、

修平だけではなく色々な人物の視点で物語は進んでいくことが多々あります。

また、全員主人公というだけあって

各自に見せ場が用意されているのは良かったですね。

見せ場が偏りすぎている人物もいるにはいるのですが。

 

エピソードは今回も複数仕立てで、順に攻略していくタイプ。

持たされているPDAや人物設定はそのままで、

ルートごとに協力する人物達ががらりと変わるのですが、

それだけでこれほどまでにストーリーが激変するのは正直舌を巻かされました。

物語の展開が読みづらく、ここからどうなるのか非常に気になって

ついつい続きをプレイしてしまいます。

そんな変な中毒性のある波乱万丈、劇的なストーリーで、

プレイヤーを捕まえると引きずり込んで離さないという、

目まぐるしく、敵味方をエピソードごとに

ガラリと入れ替えたストーリー展開は流石です。

食い入るようにプレイさせるストーリーは抜群でした。

 

ただし、普通のアドベンチャーとしてはちょっとボリュームが足りないでしょうか。

ですが、これほど殺伐としたストーリーを

長時間プレイするのにも疲れますので、

さほど問題ではないボリュームではないかと思います。

短期間で一気に読み切り、面白かったと終われる

コンパクト感は良かったと思います。

物語のコンセプト上、全エピソードで複数の殺戮は起こるため、

そういうタイプが苦手な人は徹底的に合いません。

ただ、きちんと感動要素が盛り込まれており、

単なるバトル・ロワイアルにはならないようになっています。

 

 

システムは基本をきっちりと押さえ、

ありとあらゆるところに配慮した万能タイプ。

ほぼ完璧と言って差し支えない前作のシステムを

流用しているため出来はかなり良いです。

ただ、前作にはなかった問題が少々あります。

オートモード時、ボイスのあるテキストは

○ボタンでページ送りができないようになっています。

他のテキストはできるようになっているのに、なぜがボイスありだけできません。

その為、オートモードをほとんど使いませんでした。

オートモードがほとんど使えない、というのはかなり痛かったですね。

 

今回はメモリインストール有り。

ただ、時折シャーク音がします。

そしてなんと本当のフルボイス。

一応メインでの主人公である修平のボイスまであるのは驚きました。

オートモードがシングルアクションでできないのは前作同様、

オートモード時、キャラクターのセリフ(音声ありのみ)が

一括表示されない点も前作同様ですね。

ですが、おおむねPSPのシステムとしては高ランクだと思います。

 

比較的万人向けの方向でクオリティアップしているものの、

立ち絵のバリエーションで同一人物のあまりの違い様にはため息をつかされます。

CGと立ち絵の顔立ちの違いはもちろんのこと、

CGによっては別人のように顔が違う絵が大量にあり、

体のバランスの描き方がおかしい絵もあって、

絵のクオリティはまだ商業用のレベルにありません。

前作よりはましになっているのですが。

 

CGの枚数は差分抜きで139枚。

差分はまずますの枚数です。

プレイ時間が短めですので全体的な枚数はかなり多め。

たっぷりと余裕をもって描かれた枚数だったと思います。

 

 

 

プレイ時間は21時間。

各話中盤以降からのジェットコースターが凄いバトル・ロワイアル。

1エピソードが数間程度とコンパクトながらも必要十分なボリュームであり、

あまり1エピソードが長いとだれてしまうほど濃い内容のため、

ちょうど良い長さだったと思います。

ただ、最後のルートは半分以上がルートCの流用であり、

ボリュームが2時間程度とかなり短かったのが残念です。

この最後の〆であり、前作へと繋がるエピソードをもっと丁寧に作ってほしかった。

ただし、全体的なシナリオのクオリティはかなり良いですね。

 

殺伐としていますが、目まぐるしく展開するストーリーは

物語に引き込まれれば止め時が見つけられないほどの吸引力が素晴らしかった。

どのシナリオも大量の人死にが出るために

そういうのが嫌いな方は徹底的に駄目ですが、

大丈夫な方ならば是非と進めたいゲームです。

前作のシークレットゲームをプレイしていなくても

問題ないようになっていますので、これ単品でもプレイ可能です。

というより、むしろ前作をこれの後で

プレイしたほうが良いかもしれません。




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