ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団

 

 

 

一言感想

グリム童話の様な残酷さが許せるならば

 

グラフィック 8点
シナリオ 9点
ボリューム 10点
システム 8点
快適さ 6点
満足度 9点
総プレイ時間 156時間
総合評価 88点

 

 

 

井戸から地下迷宮へと繋がるルフラン市。

その井戸の謎を解くべく、大魔女バーバ・ヤーガと称した

夕闇の魔女ドロニアが弟子のルカを伴ってやってきた。

カラザの井戸の中には強い瘴気が満ちており、

人は半時として生きていられない。

しかし、迷宮に探索に入って唯一生きて戻ってきた男が書き記したという、

魔法の書物「 妖路歴程 」がドロニアの手には有った。

魂の宿る妖路歴程を人形兵士たちに持たせ、

前人未到の地下迷宮に挑むうちに、ルフラン市の謎と、

地下迷宮の謎に挑んでいきます。

 

 

ふんわりとした絵柄に似合わず、ストーリーはかなりシビアです。

グリム童話の原作のように、

容赦のない残酷さと現実の厳しさを含みながら展開していきます。

それは決して主人公たちですら免れません。

暗く、澱みの底を覗き込むような、あまり救いのないストーリーですが、

不思議と人を惹きつける魅力があります。

 

キャラクターの魅力もさることながら、随所にちりばめられた

2週目にしかわからない伏線の描き方もうまいですね。

まるでパンドラの箱を開けるかのようなシナリオで、

希望がひとかけら底に僅かに輝くかのようです。

そのため、プレイする人を選びますが、

本編クリア後のシナリオといい、非常に完成度が高い作品です。

 

 

 

ダンジョンは3Dダンジョン型のDRPG。

ダンジョンを踏破していくのですが、

マップは通ったところは自動的に記録されていき、

迷宮のマップ一覧もすぐに閲覧可能でさほど複雑でもなく、

ギミックもせいぜい扉のスイッチとワープぐらいで、あまり迷いません。

DRPG初心者にはとっつきやすいタイプかと思います。

戦闘はシンボルエンカウントなのですが、基本的に道が狭く、

敵に見つかると殆ど逃げられません。

色々と敵から見つからなくなるようなシステムもあるのですが、

どれもその道の狭さゆえに全く生かし切れていないのが残念です。

 

戦闘はキャラクターではなく、人形兵士が行います。

人形兵士は一体につき魂の小瓶と人形素体のセットが必要です。

8つの「ファセット」という職業、男女それぞれ4容姿から選び、

人形兵士を作っていきます。

最大で40人規模の人形兵士になるのですが、

この育成は非常にやり込み度が高い。

 

ある一定以上のレベルになると魂移しが出来るようになり、

違う職業でLV1から再び育てることになるのですが、

元のレベルに比例してスキルを複数持ってファセットを変えることができ、

また、通常のレベルとは違うアニマクラリティという

裏に設定されているレベルを上昇させることが可能です。

アニマクラリティが高ければ高いほどレベルアップの能力上昇値がアップしていきます。

要するに、同じレベルでも、アニマクラリティの値が

高い人形の方が、段違いに能力が高いのです。

最大で6回育て直すことになるのですが、

色々なファセットに就いて、

スキルをどのように引き継いでいくか、という試行錯誤楽しいです。

戦闘の掛け声はあるものの、人形兵達は会話をしないので、

これを戦闘キャラクターにするのはどうかと思いましたが、

丁寧に育て上げていくうちに愛着がわいてきますね。

 

いわゆる魔法「ドナム」は結魂書に依存します。

結魂書一つでカヴン、5つの結魂書を一まとめで旅団と称します。

結魂書に人形兵を配置していき、配置されたキャラクターは

アタッカーとサポーターに分かれ、実際に戦闘に参加するのはアタッカーになります。

結魂書によってドナム(魔法やスキルのようなもの)や、

配置できる人形兵の数が違って来たりするので、

どの結魂書を選び、どの人形兵を配置するか考えるのも実に楽しい。

このあたりの戦闘システムはやや複雑ながら実に考えられていると思います。

 

ただ、あまりにもマージナルメイズが強すぎる気がしますね。

物理戦闘もそこそここなすのに、

ドナムをマージナルメイズが使用すると、

他のファセットが使うのと桁違いの攻撃力を叩き出します。

最初頃はDP(要するにMP)があまりないのでドナムを多用できませんが、

中盤以降からDPが増えるようになると、

スキルを習得する以外の最終的なファセットは

ほぼマージナルメイズになってしまうバランスブレイカーです。

もうちょっと他のファセットについても活用できるように考えてほしかった。

 

 

 

基本的なシステムは少々難ありです。

ほぼ立ち絵のみで進行していくのに、

テキストのバックログがないのは非常に残念。

また、戦闘システムのテキスト表示にも難有り。

膨大なテキストが表示され、さらにそれが遅い。

最速にしても遅いので、ずっと早送りボタンを

戦闘中押し続ける事になります。

それというものの、戦闘中に自動に発揮されるスキルが

いちいち表示されるからで、最大15キャラ分

表示されるのには少々うんざりします。

スキルは不表示で良かったのではないかと思います。

 

また、40キャラクター分装備を一人ずつ変更し直すのも面倒です。

アクセサリー以外、一気に最強装備に変更することもできるのですが、

それにしても×40人分はいささか辛いものがあります。

アイテムも大量に手に入るのですが、

ソート方法が名前順も入れてほしかった。

同じ名前なのにバラバラにソートされる場合があります。

 

 

 

グラフィックは2Dタイプ。

ふんわりとしたやわらかで優しげな風合いで、

やや独特の作風ですが比較的万人向けです。

エンディングの影絵調の動画など、とても趣味が良いのですが、

基本立ち絵のみで進行するのが非常に残念です。

立ち絵は大変魅力的なのですが、気になるのが

瞬き・口パクする立ち絵と、しない立ち絵が混在すること。

同時に表示されている立ち絵の片方がしているのに、

もう片方はしていなかったり、

さっきまで立ち絵が動いていたのに、

急に動かなくなったりするのはかなり違和感があります。

どちらかで統一したほうが良かった。

 

また、左右非対称のキャラクターがいるのに、

右表示と左表示でそのままひっくり返っているだけになっているので、

結局どちらが本当なのか非常に気になります。

左右非対称のキャラクターはもう少し気を使ってほしかった。

一枚絵のイラストは少ないながら、独特の魅力がありますね。

作品の中でもっと多用していただけたら良かったと思います。

 

 

 

プレイ時間は、ノーマルENDで97時間、

EXシナリオENDで36時間、

2週目ノーマルENDで19時間、

2週目EXシナリオENDで4時間、合計156時間です。

EXシナリオ終盤以降は難易度を落としました。

弟子のメモは一つを置いてコンプリート、

プラチナトロフィーを取得しています。

 

独特の作風ながら、暗く、深く、残酷なシナリオは異彩を放つ魅力があります。

システムはやや悪いながらも、人形兵というカスタムメイドの

キャラクターを作るというシステム、

カヴンと旅団というグループを分けての戦闘と、

やり込み度の高い育成は面白かった。

延々とレベル上げに勤しんでしまいます。

かなり人を選ぶシナリオですが、グリム童話の様なストーリーが気にならない方や、

育成が苦にならないという人ならばとてもお勧めです。




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