ルクス・ペイン

 

一言レビュー

独特の世界観が人を選ぶ

 

 

グラフィック 8点
シナリオ 8点
ボリューム 8点
快適さ 5点
満足度 8点
総プレイ時間 24時間
総合評価 74点

 

 

風光明媚な地方都市、如月市。

3ヶ月前、上海で一万人もの人を

サイレントに感染させた人物の感染場所であり、

オリジナルのサイレントが潜伏していると目されていた。

夕陽丘住宅で2つのサイレントが観測され、

FORTのメンバー西条アツキとリュウ・イーがそれぞれの地点に向かう。

結果はどちらもサイレントではあるものの、

上海の事件のオリジナルの痕跡は認められなかった。

リュウ・イーの向かった集団自殺を行っていた部屋では、

自殺直前にメールを送っており、

その送信先はアツキの転入先である如月学園だった。

 

精神から精神へ感染し、強烈な負の感情、破壊衝動を起こさせる

精神寄生体サイレント排除を目的とした組織FORTの、

如月市での活動を描いたダークな感じのストーリーです。

とにかく全体的に暗く、人を激しく選ぶタイプ。

好き嫌いがばっさりと分かれてしまいますね。

人の負の感情、嫌悪、憎悪、恐怖、不安、心配、殺意といった類の

剥き出しの感情を延々と、

オドロオドロした演出でダイレクトに見せられるため、

こういう欝なタイプが嫌いな人は全く向きません。

ただし、独特の世界観、魅力的なキャラクターを持っており、

上記のタイプが大丈夫な方は非常に魅せられるものがあると思います。

 

かなり終盤までちょこちょこと事件は起こるものの、

恐ろしくスロースターターであり、

起伏がほとんどないのが気になります。

終盤になると一気に展開が動き出し、

パワー溢れるストーリーに引き込まれるものがあるのですが、

それまではちょっと退屈です。

イベントの半分以上はクラスメイト達との会話に終始しており、

キャラクター達が魅力的でそれが楽しくないわけではないのですが、

もうちょっとストーリーにメリハリをつけてほしかったですね。

 

 

システムですが、とても使いづらいです。

アドベンチャーなのに会話の履歴が見られない

(厳密に言うとある特定の条件下でのみ見られるが)

どこでもセーブが出来ず、マップ画面でしかセーブできない、

基本的に総当りなのに、ちょっとしたことでイベントが見られず、

難易度の高いエンディングの分岐がある、

独特のシステムを持っているのにほとんどチュートリアルがなく、

プレイヤーをいきなりほったらかしにして進む、

一応アドベンチャーなのにテキスト周りのシステムが全くといってよいほど無い、

等、次回に向けてぜひとも改善してほしいことが山盛り。

会話方法とか、全く説明がないので攻略サイトがなければ

トルゥーエンドにまず辿り付けなかったと思います。

 

あと、主人公の西条アツキはきっちりと性格設定を作っているのに、

セミ東京魔人學園タイプにしたのは謎です。

要するに主人公=プレイヤーであり、

主人公の感情をこちらで選択することにより、

他のキャラクターの反応が異なってくる、

また、主人公は台詞を言わない

というシステムを持っているのですが、

アツキ自身が中途半端にしゃべりますので、

そういうシステムはばっさりと切り捨てて、

もう普通にしゃべってOKだったのではないかな? と思います。

ああいうのは主人公の代弁者が常に側にいるからこそ可能なのであって、

ほとんど単独で動いているアツキには向きませんでしたね。

 

また、独特のアクションパートΣシステムですが、

最初は面白いものの、基本的にやることは一緒です。

隠れているワームをサーチで探し出し、空間を削ってワームを捕獲。

ワームから変化したターム(情報や思念)を見るという、

独特のシステムに最初は戸惑うものの、

ある一定のパターンを持っています。

それなのに、このΣシステムが溢れんばかりに大量に出てくるため、

物珍しいのは最初だけで、

途中からは面倒な作業になってしまっています。

精神世界での戦いサイレント除去も、

数種類のパターンの敵しか出てこないため、

これも作業感が付きまとってしまい、あまり楽しくはありません。

DSらしい、タッチパネルを使ったシステムなのですが、

この辺、もう少し一工夫ほしかったですね。

 

 

グラフィックですが、独特の癖のあるデザインで魅力的。

手塗り調の濁りのあるちょっと暗めの色彩で、

世界観、作風にとてもあっていると思います。

ただ、少し人を選ぶデザインでもあります。

CGの枚数は17枚。

差分は一切ありません。

クオリティや塗り、ともになかなか良いのですが、

かなり枚数が少ないのが気になります。

最低限30〜40枚プラス差分がほしかったところ。

結構魅力的な絵で、安定している絵柄ですので

この辺はちょっともったいなかったですね。

 

 

プレイ時間は24時間。

難易度の高い分岐があるため、最初から攻略サイトを頼ったので

私のプレイ時間は短い目です。

自力で攻略するのならば、30時間ぐらいでしょうか。

独特の世界観と魅力を持っており、ストーリーはなかなか良いものの、

人の内面、とりわけ汚い部分をひたすら見続けるために

非常に人を選ぶ作品です。

魅力的なものは沢山持っているものの、

システム関連が今ひとつで足を引っ張ります。

合う人には合うが、合わない人はまったく合わない。

ばっさりと好悪が分かれてしまうため、

事前に公式サイトやレビューサイトで作風を確認するほうが良いでしょう。



HOME    BACK

inserted by FC2 system