西風の狂詩曲

〜The Rhapsody of Zephyr〜

 

一言レビュー

システムが平均ならば優秀作

 

グラフィック 9点
シナリオ 9点
ボリューム 5点
快適さ 1点
満足度 7点
総プレイ時間 25時間
総合評価 61点

 

このゲームの最も素晴らしい点はシナリオです。

一にも二にもシナリオ。

極悪なシステム周りを補って余りあるレベルです。

 

ただ、煽り文句にもあるとおり、

「それは、愛と復讐の物語。」

ですので、主人公が最初から凄まじいまでに苛烈な運命を背負わされます。

もう、これでもかというぐらい。

ここまで辛い運命を持つ主人公は珍しいです。

暗い目のお話ですので、こういうのが嫌いな方にはオススメできません。

 

ですが、今までのRPGの主人公には無い、

斬新で重い設定と素晴らしいシナリオが、

最後までプレイヤーを飽きさせません。

ぐいぐいと人を引っ張っていく、素晴らしい魅力があります。

では何故9点かといえば、

これ単体では全てを理解することは不可能だからですね。

 

もともとこのゲームは韓国で作られたものです。

韓国でシリーズ化されているゲームの中の、

外伝的位置付けにあるものらしく、

それらの本筋をやっていなければさっぱりわからないものが、

ちらちらと出てきます。

たぶん、シリーズをやっている人ならニヤリとくる、

サービス的な話や人物が絡んできていると思います。

といっても、これ単体でも十分で遊べるレベルですので、9点としました。

 

 

マルチエンディング(4パターンある)なのですが、

20〜23時間ぐらいで1パターンぐらいはクリアできてしまいます。

かなり短いですね。せめて35時間ぐらいは欲しいところです。

 

 

次にいいのは音楽。

私の評価点には何故音楽点が無いのかといえば、

私が音楽音痴だからなのです。

みんなに良い良い言われている作品でも、

さっぱりわからないので評価欄がないのですが、

今回はストーリーの中で弾かれるピアノ曲の使い方が実に秀逸でした。

 

 

CGグラフィックは実に美しい。

森や海など、自然の背景や人物がとても綺麗でした。

ただ、ムービーがPS2でもあるにもかかわらず、

輪郭が滲んでいるように荒いです。

動きのあるムービーはほんの僅かで、

一枚絵に近いムービーが多いのと、

オープニングムービーが無いのと、

そして韓国語のテロップが消されていないのが非常に残念です。

 

絵は、女性陣の眉がちょっと太いのが気になりますが、

全体的に人の好き嫌いの少ない、美麗な絵でした。

が、ビックリしたのが人物のバストアップグラフィックが

殆どが一人につき1種類しかないところです。

しかも、それもステータス面の使い回しです。

 

会話中にバストアップグラフィックが出てくるのですが、

毎回ではないので首を捻っていた所、

よくよく見れば1種類しかありません。

ようするに、1種類しかないので毎回出していると

雰囲気にそぐわないので、出していないと。

 

これは、凄い手抜きだと思います。

会話中にバストアップグラフィックを出すのなら、

一人につき喜怒哀楽と普通の5種類ぐらいは用意するべきです。

それが出来ないのなら、ばっさり切り捨てて

ちびキャラのみで演技させるべきだったと思います。

この作品は、この手の手抜きが非常に目立ちました。

 

 

次に破壊的なシステム面です。

これはもう、全然駄目なレベル。

 

1.マップが殆ど使い回し。

森なら、どの森でも同じマップなのです。

道順は違うものの、見事に同じマップCG。

どの屋敷に行っても、どの街に行っても同じマップです。

 

ラストダンジョンこそは違いましたが、

あまりにも手抜き過ぎると思います。

またこのマップかと思うと、正直飽き飽きしていました。

しかもマップそのものが大きすぎて、移動が大変です。

いくらダンジョンマップ=戦闘フィールドでも、大きすぎました。

 

2.戦闘に戦略性が無い

戦闘はグローランサーとサモンナイトを足したような感じです。

武器が防御を兼ね、武器そのものにHPや

限界力がある試み自身は良いと思います。

上でも書きましたが、ダンジョンマップ自身が

戦闘フィールドになります。

スピードの速い人物から敵味方無くターンが回ってきて、

それぞれのキャラクターの移動できる距離範囲内が示され、

敵まで升目を移動して攻撃します。

 

が、味方キャラ全員が遠距離攻撃を使えることと、

力押しで全戦闘フィールドが攻略可能ですので、

かなり易しい作りになっています。

 

気になるのが、通常攻撃です。

主人公ならば、「斬る」「狙い斬り」「居合斬り」「王国空波」の

4種類があるのですが、どの攻撃がどういう特徴があるのか、

説明書にまったく書かれていないのです。

「王国空波」は遠距離も出来る攻撃方法なのですが、

ほかの3種類の攻撃方法の特色が

最後になっても全くわかりませんでした。

これは、あまりにも酷いと思います。

攻略本を見ても、書いてないところが凄すぎるのですが…。

結局面倒になって、ずっと「斬る」ばっかりを使っていました。

 

レベルアップも容易く、

レベルアップすればHPとMPのパラメーターが

最大まで回復するので、アイテムはボス戦以外殆ど要りませんでした。

戦闘自身が楽しくないのに、

一つ一つの戦闘が長いのが気にかかりましたが、

その代わりエンカウント率がかなり低いので、

許せるぎりぎりのバランスだと思います。

 

 

3.文字が異常に小さい

本当に小さいです。

視力が1.0以上ないと、文字が読めないレベルです。

パソコンでしたら近距離でプレイしますので、

あれでも妥協できるレベルかもしれませんが、

TVゲームは1メートルから2メートルは離れてやるものです。

 

私は日常生活やパソコンは裸眼で、

TVゲームをやる時だけは眼鏡をかけますが、

眼鏡をかけて1.3〜1.5ぐらいはある視力で見ても、

非常に見辛かったです。

3行出さなくて良いので、

縦横最低1.5倍ずつの文字サイズは欲しかったところです。

もしかすると、縦横2倍でも大丈夫だったかもしれません。

要するに、それほど小さいのです。

 

4.ステータス画面の装備システム

ステータス画面で武器やアクセサリーを装備するのですが、

説明書を見ずに装備できる人はまずいないと思います。

ステータス画面に「 装備 」というアイコンがあるのですが、

これで普通なら装備できると思うでしょう?

ところがこれでは持っている装備品の

ステータスを確認できるだけなのです。

 

ではどうやって装備するかというと、

まず人物のステータス画面を開いて、

口キーを押せば、やっと装備欄に移動できるので、

そこから装備します。

このあたり、非常に不親切です。

何もこんなにややこしいことをしなくても

装備、と書いてあるアイコンで装備できるようにすれば良いと思います。

 

5.その他のシステム

通常移動では、×ボタンを押しつつ、方向キーを押さなければ、

走れませんでした。

左スティックで移動させれば、ダッシュする、

というようにしてくれればよかったと思います。

 

それと、走っている途中に、上手いことぴたりと

止まれないのが気にかかりました。

人に話し掛けるのに、上手いことその人のそばで止まれないのです。

マップの人も、動きが速すぎ、

また長距離を移動しすぎています。

話し掛けたいのに、人の動きが速すぎてなかなか話し掛けられず、

イライラさせられました。

 

室内マップは、どこが扉なのか非常にわかり辛く、

とにかく移動に苦労させられたゲームでした。

 

 

色々悪いことも書きましたが、

非常に惜しいゲームだと思います。

システム関連が普通レベルで、

マップの使いまわしがなければ、

もっと良い点数になっていたと思います。

 

ただ、ストーリー自身が短く、難易度はかなり低いので、

ストーリーに惚れる事が出来さえすれば、

ぎりぎり我慢できるレベルには仕上がっていると思います。

このゲームは、どこまでが妥協できるか、という点に尽きるかと。

 

最近のRPGはストーリーがもうひとつか普通レベルが多い中、

これほどストーリーの良いのは珍しいのに、

実に惜しい作品でした。




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