世界でいちばんNGな恋

ふるはうす

 

一言レビュー

本妻VS愛人

 

グラフィック 7点
シナリオ 10点
ボリューム 7点
快適さ 9点
満足度 9点
総プレイ時間 34時間
総合評価 85点

 

 

会社ぐるみの不正の一切合財を背負って会社を首になり、

職を失ってとあるスナックでヤケ酒をあおった挙句、

気持ち悪くなって外で酔いを醒ましていた。

そんな折、空から零れ落ちてきたのは、白い雪。

天候からも見放され、失意のどん底に沈む中、

目の前に差し出されたのは、熱いショート缶のコーヒーだった。

「酔い覚ましに、どうぞ」

声をかけてきたのは、なけなしの金をはたいて飲んでいた、

先ほどのスナックのお客の人気を独占していた優美なホステスだった。

 

「困ったことがあったら訪ねてきてくださいね」

優しくそう言ってくれたその人。

とある高級住宅地に建つ、風呂なし、台所なし、トイレ共有という

今時珍しいアパートの大家さんだというその人は、

困ったことがあればいつでも訪ねてきてほしいと慰めてくれた。

三か月の間数度ほどしか会わなかったのだが、もう運命としか思えず。

プロポーズの為に真っ赤なバラの花束と、

彼女の誕生石らしいエメラルドの指輪を用意し、

訪ねて行ったアパート「テラスハウス陽の坂」から出てきたのは、

なんと彼女、穂香の娘だという少女だった。

 

穂香にプロポーズしに来た旨を遠回しに伝えると、

いきなり繰り出されたのは手厳しい平手打ち。

なんと穂香は一人娘をほったらかして恋人と駆け落ちの真っ最中であり、

主人公、芳村理が口にした言葉の端々で、

当の駆け落ちした男と勘違いして手をあげてしまったらしく。

再び失意のどん底に沈んだ理はなんだかんだといって

その古ぼけたアパートにお世話になることになった。

 

という、人生どん底、果てしなく不幸に愛された情けない男芳村理(28歳)の、

運命の出会い?から始まったお話です。

生まれる前に父親は他界、中学三年生で唯一の肉親の母親に見捨てられ、

保護者をなくした穂香の娘、美都子に同情し、

またその頼りなさのあまりに

しっかり者の美都子に多分にお世話になった理は、

美都子の親が不在なことを学校に隠し通し、

優秀な成績を収めながらも

中卒で働く覚悟をする美都子を援助して進学を勧めつつ、

失業中のために再就職に頑張るというストーリー。

 

とにかく初めは主人公の情けなさがあまりにも目につくわけですが、

腰の低さ、気の弱さ、弱運の持ち主という三拍子がそろっていながらも、

その高学歴がうなずけるずば抜けた優秀さ、

いざ決断した時の爆発的な行動力には目を見張るものがあります。

事態が動き出した時の起爆力が素晴らしい。

情けないけれど、一生懸命頑張って結果を出して見せる姿は格好良い。

主人公が本領を発揮し始めるや否や、

プレイヤーを一気にストーリーに引きずり込んでしまうものがあります。

 

ほとんどのヒロインが成人しており、

主人公が28〜30歳の頃を描いているため、

全体的に恋愛部分は落ち着いていてアダルティな雰囲気があり、

十代が多いギャルゲーにやや食傷気味だったこともあって

楽しくプレイできました。

昨今の就職事情の中、倒産だ、リストラだ、再就職だという

身につまされる言葉が躍るのは変にリアリティがありますね。

そして、どのヒロインルートでも美都子VSヒロインという形になっており、

ヒロインルートに入ると修羅場度が凄いので、

そういうのが苦手な人には向きません。

 

幹がメインヒロインのルート、

そこから途中で枝分かれして、途中で終わるのがサブヒロインルートとなっており、

いわゆる途中ですぱっと分岐すればサブヒロインに、

分岐しなければメインヒロインが続くというタイプですので、

最初頃のヒロイン夏夜や次の姫緒は

かなりストーリーが短めになっています。

まさにメインヒロインのために、

という形式になっていますが、他ヒロインも手を抜かず、

納得のいくエンドマークをつけているのは高く評価したいです。

 

 

システムはそれなりで、細かに設定も出来、快適です。

データインストールもあるのですが、

使用しても時折ローディングがあるのは残念です。

履歴からのジャンプ、ボイスハイライト、クイックロード&セーブも完備。

少々問題なのはテキストが見づらいことなのですが、

変更するとますます見づらくなってしまいます。

セーブ数は29とちょっと少なめ。

セーブがセーブ日時、プレイ時間、シーンタイトル、

ルート名しか表示されないのが非常に見辛い。

しかも、上記の表示も一つずつ、□ボタンを押さなければならず、

どのデータがどの時のセーブかわかりづらいです。

後は特に問題ないですね。

総じて優秀なシステムだと思います。

 

 

グラフィックですが、綺麗系ながらも万人向けの絵柄。

ふんわりとした優しい面立ちの絵柄です。

立ち絵は皆魅力的なのですが、

CGの顔立ちにややバラつきがあり、

はっきり指摘してしまうと立ち絵の方が

魅力的な絵が散見するのは減点ポイントです。

また、ゲームプレイ中は本来の絵のサイズにリサイズできません。

アナログパッドで断ち切られた絵の上下をずらしてみることは可能ですが、

全体絵をプレイ中に見られないのは残念ですね。

CG閲覧ではリサイズしたものを見ることが可能です。

 

CGの枚数は差分抜きで86枚ほど。

差分も少なめで差分を入れても219枚です。

クリア時間から見ると、少ない枚数です。

差分抜きで100枚ぐらいは欲しかったですね。

そして、その内デフォルメ絵の類が差分抜きで10枚と、

ややデフォルメ絵が多目で実際の普通のCGは

76枚と少ないのが気になります。

 

 

プレイ時間は約34時間。

全エンディングクリア、全CG、全シーンタイトルを回収しています。

メッセージと選択肢はコンプリートしていません。

 

最初は弱気で頼りないところが気になりますが、

ある程度進めていくと主人公にとても好感を持てるようになります。

全体的にコメディタッチながらも大人っぽく、

落ち着いた雰囲気を醸し出しており、

成人したプレイヤー、社会に出て働いている人に

非常におすすめしたいゲームです。

ただし、必ずメインヒロインとの修羅場があるので、

そういうのが苦手な方は要注意です。

一気にのめりこめるゲームでした。




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