英雄伝説V 「白き魔女」

 

一言感想

情けは人の為ならず

 

グラフィック 6点
シナリオ 8点
ボリューム 6点
システム 4点
快適さ 6点
満足度 7点
総プレイ時間 30時間
総合評価 63点

 

 

ガガーブ三部作のうちの一作目にあたるお話であり、

三作の中で一番年代が新しいストーリーになります。

これはガガーブの始まりで、終わりの物語。

村の習わしにより、銀の短剣を携えて幼馴染のクリスとともに、

各地に点在するシャリネと呼ばれる祠を順に5つ巡り、

最後のシャリネ、オルドスを目指すという、巡礼の旅のストーリー。

各地に散らばる、20年後の予言を残した

「白き魔女」と呼ばれた少女の足跡をたどり、

彼女の言葉を知るうちに、世界を救うことになります。

 

最初は淡々と進むのですが、あちこちで人と知り合う毎に、

様々な人たちに手を差し伸べられ、

また、自分が親切にした人たちにも反対に助けられて旅を続けていきます。

人を助け、助けられ、自分たちの力だけで旅をするのではなく、

様々な人の優しさに触れながら各国を回る様は、まさにこの世の縮図を思わせます。

人の心の温かさに心がほんわりとする、優しいストーリーですね。

非常に牧歌的であり、性善説に基づいていると思います。

現実の世界の人たちが皆こうであったらいいなと、プレイ中思いました。

そして王城は入りたい放題、運が良ければ王様、お妃様にお会いできて会話できるという、

身分の高い人達もとても身近で親しみやすい人に描かれています。

 

終盤の人の動かし方、プレイヤーの興味を一気に引きつける手法は

このころからその才能が垣間見えています。

ファルコムならではのストーリー中の人物の活かし方だと思います。

ただし、何しろかなり古いゲームですので、

二転三転する真実や複雑に絡み合った、等を思ってはいけません。

主人公とヒロインの言動が幼さ過ぎるところや、

展開も都合の良すぎる所が多分に見られますが、

ストーリーの点数は作品の古さも加味して甘めにつけています。

また、三部作の一部であり、ストーリーの評価は

全作(三作)やって初めて正しい評価が出せるものだと思います。

その為あちこちに散らばる伏線は評価できていません。

 

 

サブシナリオは一切ありません。

一部、  特定の会話が挿入されるぐらいでしょうか。

完璧な一本道で、とにかく前へ、前へ進むだけのストーリーであり、

基本的に前々の街や村にはほとんど戻れません。

各国を旅するという雰囲気はとても出ているのですが、

そこに自由度はほぼありませんので、そういうところを重視する方は要注意です。

伝統としてある本のシリーズですが、

ショートストーリーとしてはなかなか良い出来だと思います。

このころは比較的簡単に入手できていいですね。

他シリーズでもこのぐらいの難易度で手に入れられれば良いのですが。

 

 

戦闘システムですが、非常に大味です。

基本的にAIが自動で行動します。

このAIが、ため息が出るほど酷い思考回路です。

まず、同じ敵を攻撃しない。

二撃目はほかの敵であることもざらです。

仲間同士でも同じ敵を攻撃せず、てんでバラバラに攻撃する。

同じ敵を狙うには、こちらが一々指定してやらなければならず、非常に面倒です。

そして攻撃を指定しているにもかかわらず、棒立ちなこともあると、

始終イライラしっぱなしになります。

大雑把な命令はできるものの、

攻撃、魔法、補助、防御、移動、回復の6種類以外指定できません。

キャラクターによっては上記のうち4種類〜5種類しか指定できないぐらいです。

攻撃を指定しても特殊攻撃をするかどうか、

魔法を指定してもどの魔法を使うかはランダムと、

とにかく非常に大雑把でプレイヤーの思ったように動いてくれません。

 

その上VPというものがあり、

これは移動したり攻撃したり等、何かアクションを起こせば減っていくのですが、

VPがある一定以上減れば何も行動できず、

VPが回復するまで棒立ちになります。

敵は非常にいやらしい状態異常の攻撃をバンバンしてきたり、

回復はもちろんのこと、敵を蘇生してくれたりしますので、

前述のことも相まってとにかく戦闘に時間がかかります。

戦闘難易度が易しいのかというとそうでもなく、

所々でレベル稼ぎをしておかなければ必ずどこかで勝てなくなり、詰まります。

エンカウントは場所エンカウントであり、

画面を切り替えると敵が復活することもあるのですが、

復活するかどうかはランダムと、

とにかくレベルを上げるのにも時間がかかってイライラさせられました。

こんなに戦闘が大味なRPGは初めてです。

 

 

グラフィックはまさにスーパーファミコン。

発色や彩色、マップデザインがまさにそうで、

昔懐かしな古臭い感じが随所にあります。

何分古い作品なので仕方がないと言えばそうなのですが、

2005年発売版ですので、せめて立ち絵ぐらいは追加してほしかった。

ずっと表情のないミニキャラクターでストーリーを続けられるので、

その人物の思いや考えが解りづらいです。

オープニングやエンディングに一枚絵が散在していますが、

これもとても古いデザインです。

大分好き嫌いが分かれると思います。

シャリネで使われるムービーは非常に美しく、

造詣も見事でびっくりしました。

このゲームで合格点の付けられるグラフィックはこれぐらいでしょうか。

とにかくグラフィックに関して、期待は絶対してはいけません。

 

 

 

基本的なローディング等のシステムは機種に依存するかもしれませんが、

マップ切り替え等特に問題ありません。

その他のシステムですが、下記2点が非常に悪いです。

まずキーカスタマイズがない。

私の使っていたコントローラーの場合、

決定キーがキャンセルとシステム画面、

キャンセルキーが決定キーになっており、

プレイ中反対を押してしまうことがしばしばで、とても困りました。

空の軌跡の時にはすでにキーカスタムのシステムがありましたので、

せめてこのシステムぐらいは搭載してほしかったですね。

あまりにも間違えるので、コントローラーの方に

キーカスタム機能のついているものを買いなおしてしまいました。

 

マップもどこがつながっているのか非常に見づらく、

街が異常に大きく、家の並びに整合性がないのが困りました。

ここは通れないだろうと思っていたところが思いの外通れたり、

ここは通れるだろうと思ったところが通れなかったりと、

操作しているキャラクターが想定外の動きをするのや、

椅子や机をガンガン上るのには面喰いました。

ちょっとした段でも操作キャラクターが小刻みにぴょこぴょこ動くので、

2Dなのに、2D酔いする羽目になってしまいました。

2Dで酔うゲームなんて初めてです。

 

戦闘キャラクターですが、常にがっちり決められています。

ストーリーを主にしているゲームなので仕方がないと言えばそうなのですが、

パーティーキャラクターは最後においてまで、まったく自由がありませんでした。

この辺はもうちょっとどうにかしてほしかったですね。

 

そして画面をゲーム以外に切り替えると発色がおかしくなりました。

私のPCの場合、ショッキングピンクと蛍光水色、蛍光グリーンの彩色になります。

画面は必ずフルになり、ウインドウモード・フル間の切り替えはできません。

画面のサイズはBIOSをいじると変更可能なようですが、

さすがにそれをする勇気はありませんでした。

また、上記2点は機種・OSに依存するかもしれません。

 

 

 

プレイ時間が表示されないのではっきりとはわかりませんが、約30時間。

基本的なシステムや戦闘システムがあまりにも酷すぎて

PSP版を買いなおそうかと思ったぐらいです。

中盤以降のストーリーが良かったので、何とか最後までプレイできました。

情けは人の為ならずということわざがぴったりなストーリーだと思います。

 

上記ことわざは間違って覚えている方が多いので注釈しておきますと、

優しくするのはその人の為ではなく、自分の為であり、

まわりまわってその優しさは自分に返ってくる、

だから人に優しくしましょうという意味です。

 

ストーリーは結構いいものの、エンジンがかかってくるのは中盤以降、

そしてグラフィックはスパーファミコン級、

戦闘システムはあまりにもずさんと、

今現在ではとてもすすめられません。

 

ストーリーを楽しみたいというのならばこちらではなく、

マップデザインや戦闘がテコ入れされ、

立ち絵の追加されているPSP版をお勧めします。

古いゲームを新OS用に作っているのでかなり甘めに点数をつけてありますが、

それでもやや悪めの点数になってしまいました。

もうちょっといろいろ手を加えてほしかったですね。

今現在(2012年)時のゲームとしては

プレイに耐えられる人があまりいないのではないかと思われます。

古き良きゲームがしたいならばといったところでしょうか。




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