ソラトロボ (solatorobo)

それからCODA

 

一言レビュー

ワンニャン王国

 

グラフィック 8点
シナリオ 9点
ボリューム 7点
システム 6点
快適さ 5点
満足度 8点
総プレイ時間 24時間
総合評価 76点

 

 

世界にはイヌヒトとネコヒトという二種類の種族が存在しており、

雲の上に浮かぶ島々を舞台とした、独特の世界観のストーリーです。

犬猫好きなケモナーならば誰もが顔がほころぶぐらい、

とにかく愛らしい、ネコちゃんワンちゃんだらけです。

こういうタイプがお好きな方はたまらないでしょう。

 

また、ストーリー自体もしっかりと組み立てており、

明るく、朗らかに進んでいくので、暗い展開はほぼなく、

楽しくプレイできる仕上がりになっています。

見ていて微笑ましいストーリーですね。

とにかくこのストーリーの根幹をなすというか、

方向性を決めているのが主人公の性格であり、

明るく、前向きで、単純だけれど底抜けに優しい熱血漢、

というタイプをとても自然に描いています。

この主人公がいるからこその、この明るいストーリーであり、

あまり悩むこともなく、常に前向きな性格、

口は悪く、一見乱暴なように見えても、

困っている者には手を差し伸べずにはいられない優しさは、

思わずほっとするものがあります。

とても雰囲気の良い作品であるのは、

ひとえにこの主人公が主人公であるからこそでしょう。

周りの者はそうではなく、深刻に悩んでいたりするのですが、

この主人公の前向きさや行動力に引っ張られる形で

他のキャラクターやストーリーが動いていく様は見事です。

 

ただその分、終盤の急ぎ足が気になりました。

とある人物のセリフだけでこの世界が一気に説明されている個所があり、

あまりにも大量に放り込まれた情報にプレイヤーがついていけなくなります。

この終盤をもっとゆっくりと丁寧に描いていればと、

それが残念でなりません。

 

 

さて、このゲームのアクションパートである戦闘なのですが、

これが非常にシンプルです。

基本的には敵を持ち上げて(リフトアップ)叩きつけるか、

敵が投げてきた砲弾などを投げ返してダメージを与えるか、

あるいは稀にある制限有りの飛び道具を使うかの

3択であり、やっていることは雑魚戦でもボス戦でもあまり変わりがありません。

操作性を覚えてしまえば毎回やっていることは同じであり、

あまり変化が見られないのは非常に残念ですね。

 

そしてアクションパートで一番の難点であるのが、

ダッシュとジャンプが同じBボタンである、ということです。

ダッシュはBボタンを素早く2回、

ジャンプは1回という違いはあるものの、

ジャンプして滞空しているにはBボタンを連打する必要があります。

つまり、ダッシュするつもりがジャンプしてしまったり、

ジャンプするつもりがダッシュして

みすみす敵の攻撃に当たりに行ってしまったりという

自爆行動が頻繁に起こるということです。

他にも空いているボタンはあるのに、

何故ダッシュとジャンプを同じボタンにしてしまったのか

問い詰めたいレベルですね。

ちょっとしたタイミングでどちらになるかが変わるので、

プレイしていて思い通りに動かず、イライラしてしまいました。

 

機体のカスタマイズですが、Pクリステルというアイテムを使って

スロットを開放していき、スロットにパーツをはめていくと

攻撃力、力(リフトアップの速さに関係する)、

防御、スピード、回復が底上げされるというタイプです。

レベルが上がってもHPが増えるだけで、この手の能力は一切増えませんので、

機体のカスタマイズが能力を左右していると言っても過言ではありません。

実は、ここに下手でもクリアできる秘密があります。

中盤以降の底上げ力はかなり高く、防御をとことんあげてしまえば、

ボスといえどもこちらにほとんどダメージを

与えられなくなるのです。

後はとにかく地道にボスの投げてくる飛び道具を

投げ返していくだけとなってしまいます。

上手い方ならば防御をあまり上げず、

攻撃や力を上げるようにすれば、ボス戦も

あっという間に終わってしまったのではないでしょうか。

下手にアクションパートを難しくしてほしいわけではありませんが、

何かもうちょっとひねりが欲しかったですね。

 

空を飛びまわるエアロボグランプリですが、

私は下手すぎて評価できません。

とにかく難しいの一言で、独特の操作性が必要であり

アクション系が苦手な人は

まず手を出さないほうが良いでしょう。

 

さて、どちらかというとサブイベントになっているクエストですが、

実はほとんどがサブイベントではありません。

ストーリーを進めるには

サブイベントを8割方クリアする必要があります。

それというのもハンターランキングというものがあり、

メインイベントを進めるには

ある一定のランキングレベルが必要になってくるのですが、

本編を追っていくだけでは絶対にランキングレベルが足らない

仕様になっています。

つまり、その時に出ているクエストを

ほとんどプレイしてハンターランキングを上げなければ、

メインイベントとなるクエストを

進めることができなくなっているわけです。

要するに、自由度はあまりなく、サブイベントと銘打っていても、

実は必ずやらなければならないものが大多数になっています。

クエストはそれぞれキャラクターの一面が見えて興味深かったりもしますが、

これをやらなければストーリーを進められないというジレンマもあります。

このあたり、水増し感がかなりあり、

本編のボリュームの足らなさが見え隠れしますね。

 

また、マップが非常に狭く、ダンジョンマップも

すぐにクリアできる広さしかありませんし、

マップの構造もとてもシンプルです。

上画面にマップがどのようにつながっており、

今現在どこにいるのかも表示されるようになっていて、

迷う要素もないため、ちょっと狭すぎになっていますね。

いくらDSだからとはいえ、この狭さはちょっとどうかと思いました。

 

 

その他のシステムですが、なんとDSなのに

一切タッチ画面に対応していないというのは驚きです。

会話の送りぐらいは最低限タッチに対応してほしかったと思います。

また、そのためにマップの移動はすべて十字キーのみとなっており、

DSの十字キーの特性も相まって

微妙な動きが非常にやりにくくなっていて、左腕がつりそうでした。

街マップの移動はタッチペンで誘導できるようにしてほしかったですね。

 

また、セーブは一つきりであり、

セーブを分けられないのは地味につらいです。

こまめにイベントが消失したりしませんし、

メインイベントが終わればすぐに他の街マップに移動できたりしますが、

後戻りできないところでセーブするのは非常にためらわれました。

 

 

グラフィックですが、綺麗なアニメーションを使った2Dと、

ポリゴンを一部使った2.5Dというのは上手に使い分けていると思います。

DSはどうしてもポリゴンが貧弱になりがちですので、

この案は結構良かったですね。

アニメーションは非常に美しく、なめらかに動く造作はかなり良い出来。

立ち絵との差もほとんどなく、上手にキャラクターを表現しています。

随所でアニメーションパートが挿入され、

ストーリーを上手に彩っています。

ちょっと残念だったのが、クレパスで描いたかのような

主線の部分があったところですね。

あの線のざらつきが妙に気になりました。

全部統一でよかったのではないでしょうか。

 

 

 

何をどうやってもクリアできそうにないエアログランプリ関係と

一部アクション要素の高いクエストを除き、

ダウンロードクエストまでクリアして24時間です。

DSとしてはボリュームはまずます〜多めに見えるわけですが、

サブイベントで結構水増しされているのも相まって、

RPGとしてみればボリューム不足に感じられます。

悩みますが、DSならば普通ぐらいのボリュームでしょうか。

また、終盤の駆け足になってしまっているところが気になりました。

 

朗らかな、雰囲気の良いストーリーであり、

子供向けに作ったのかもしれませんが、

大人でも十分に遊べるレベルに作られたアクションRPGです。

アクションパートは単純ですが、このストーリーを見るために

やる価値は十分あると思います。

PSPとして出し、ダンジョンをもっと広くし、

終盤のストーリーをもう少し丁寧に描くだけで

劇的に化けたのではないかと思いますので、

DSとして出てしまったのが非常に残念だと思います。

ただ、楽しくプレイできたのも確かですので、

DSで何かストーリーの明るい、楽しく遊べるARPGを、

と思っているのならばお勧めしたい作品です。



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