英雄伝説Y 空の軌跡 The 3rd

 

一言感想

ファンディスクとしては最高の出来

 

グラフィック 8点
シナリオ 10点
ボリューム 9点
システム 7点
快適さ 8点
満足度 9点
総プレイ時間 69時間
総合評価 88点

 

 

空の軌跡SCの数ヶ月後の物語です。

SCでの新キャラクター、ケビン・グラハム神父を主人公に据え、

彼の過去に密接な関わりのある新キャラクター、リース・アルジェントを追加し、

前作では語られなかった彼の過去と素性をもとに展開していきます。

この話の運びはさすがファルコム。

上手に感動要素と、辛い過去を織り交ぜて

綺羅の様に綴っていく様は見事の一言です。

辛い過去から目を背け続けてきたのに、

その過去と真正面から向き合うことになり、

その傷を乗り越えていくというある意味ベタな展開にもなりそうなものを、

上手に昇華させ、プレイヤーにすんなりと受け入れさせて涙を誘う

自然な描き方はこのファルコムの良点の一つだと思います。

とにかくストーリーがこの会社はいい。

RPGの中では抜群のシナリオライターがいる会社ですね。

これほど良いシナリオのRPGを作れる会社はめったにないでしょう。

キャラクターの肉付けも上手にされており、

皆魅力的で生き生きとしています。

RPGはとにかくシナリオ重視の人ならば納得のストーリーです。

 

ただし、あくまでもファンディスクとして、であり、

前作前々作のFCSCをプレイしていることが前提条件となっています。

なにしろ前作のパーティメンバープラス

重要キャラクターが山盛りのお祭り騒ぎであり、

戦闘に参加するキャラクターだけでも総勢16人います。

また、各ダンジョンに封じ込められたキャラクターを

一人、二人と開放していき、全員でこの閉じられた

異空間の世界の謎を解くという趣向であり、

ベースとなる場所はあるものの、正確には街や村マップやNPCの類はありません。

つまり、世界や国を旅するというRPGとは真逆を意味するわけで、

それがあくまでもファンディスクと言われる所以なのです。

サブイベントも前作の後日譚や裏設定、ミニゲームに終始しており、

ボリュームはかなりあるものの、あくまでも前作プレイ者向けです。

ですが、FCSCのキャラクターが好きだというのならば見事にはまれるでしょう。

 

 

システム自体は前作とほぼ一緒なので割愛します。

ボーナスアイコンの種類が増えたのと、

特定のキャラクターのクラフトが増えたぐらいでしょうか。

この辺はあまり言うことがありません。

 

 

前述のとおりパーティメンバーが多く、

ある程度進むとより取り見取りになります。

使いやすいキャラクターというものが各自あるでしょうが、

強制メンバーも結構おり、途中と最終ダンジョンでは

フルメンバーを使うという趣向になっていて、

レベルは簡単に上がるという救済処置があるものの、

とにかくシリーズ上最高の人数の、装備を用意するのが大変でした。

この辺はもうちょっと何とかしてほしかったですね。

 

 

グラフィックはディスプレイによって差があるとは思うのですが、

発色がずば抜けて美しいです。

あいかわらずポリゴンの出来はカクカクしていて

オモチャっぽいのが玉に瑕ですが、

ここの会社のゲームはもう、2Dとアニメーションで

十分じゃないかと思わせるものがあります。

その分、もうちょっとアニメーションがほしかったでしょうか。

シナリオが良すぎてちょっと問題がある部分が

あまり気にならなくなりますね。

その他は問題のないレベルです。

 

 

 

プレイ時間は、サブイベントである月・星・太陽の扉を

フルコンプリートして69時間です。

最後に追加される半ばレベル上げのためのダンジョンも

最後のボスまで倒しています。

すべての要素をクリアせず、ストーリーを最短で

追ったとしても40時間以上はかかるでしょうか。

ファンディスクとしてはかなりボリュームがありますね。

 

とにかくストーリーが秀逸。

また前作のキャラクターてんこ盛りは彼らが好きだった身としては嬉しい限りで、

サブエピソードも実に彼ららしくてよかったですね。

次回作の橋渡しとなっているようで、複数のキャラクターが

零の軌跡の舞台であるクロスベルにいることを匂わせています。

 

軌跡シリーズは抜群にストーリーが良いです。

が、あくまでもファンディスクであることを念頭に置く必要があり、

FCSCをプレイしていない人はお断り仕様になっています。

ただし、ファンディスクとしてはかなり完成度が高いと思います。

完全新作を期待せず、空の軌跡のキャラクター達が

好きだった人にはぜひともお勧めしたいゲームですね。




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