英雄伝説 零の軌跡

 

一言感想

マイスターの作品

 

グラフィック 7点
シナリオ 9点
ボリューム 9点
システム 8点
快適さ 9点
満足度 9点
総プレイ時間 70時間
総合評価 87点

 

 

空の軌跡 3rdの数ヶ月後にあたるクロスベル自治州での物語です。

今回は主人公やパーティキャラクターをがらりと変えてお色直しを行っており、

遊撃士ではなく、捜査官が主人公となっています。

そのため、警察官らしい側面から事件を見ていくという

刑事ものらしさが際立っていて、毛色が変わっていて面白かったですね。

猪突猛進タイプだった前作主人公とは打って変わって

生真面目だが冷静で非常に頭の良い主人公を採用しています。

そしていざという時の決断力と大胆さは目を見張るものがあります。

こういう前作主人公とは対極に位置する人物を

主人公に当ててきたのは良い試みだと思います。

パーティメンバーは全員、主人公がリーダーであるということをきちんと認めており、

フォロー役をしていたり、経験の足らなさを補っていたりして、

4人全員でチームであるのがとてもよくわかります。

組織の中でチームとして動く、というのを丁寧に描いており、

この辺も実に警察官らしいですね。

 

そして肝心のストーリーですが。

相変わらずずば抜けた台詞回しですね。

自然に流れるような展開、終盤の爆発的な瞬発力、

生き生きとした魅力的なキャラクターと

RPGとしては群を抜くシナリオだと思います。

全員が何かしら傷を抱えているわけですが、

各キャラクターの過去、トラウマの描き方も秀逸。

これほどのシナリオが他RPGでもあればとため息が出てきます。

今回もNPCのキャラクターのこだわりは素晴らしく、

ちょっとストーリーが変わるだけで全員違うことを言っているのが凄いです。

この細かいセリフだけでもとんでもないボリュームを有しており、

相変わらずの細部のこだわり方には感心してしまいます。

中には場所を移動していたり、クロスベルには居なかったりする人物もいます。

これほどのNPCを用意してきている

他メーカーのRPGは見たことがありません。

これだけ事細かに変化させていると書く方も大変だと思うのですが、

このシリーズの良点の一つでもあるので是非とも続けていただければと思います。

 

ただし、続編を睨んだ、謎が山盛りの終わり方をしています。

一応事件に決着をつけているものの、

あちらこちらに伏線が投げっぱなしになっているのは

人によっては否定的にとらえるポイントでしょう。

助っ人としてパーティインする人物がいるものの、

基本的にはパーティキャラクターは

4人だけというのもちょっと少ないかな、と思います。

また、この軌跡シリーズは世界を救うという

命題になりがちなRPGとは違うのですが、

規模が小さく、基本的に一国での事件をターゲットにしてきています。

今回はクロスベル自治州という一応国一つを舞台としているものの、

クロスベル市と徒歩で回れるごく一部の周辺の村や施設のみが登場し、

前作よりもさらに舞台の規模が小さくなっており、非常に箱庭的です。

世界中を旅するというタイプが好きな方は要注意ポイントです。

 

サブシナリオである支援要請は前作での依頼とほぼ同じです。

お使い要素のあるものなのですが、

それだけに終わらないのがこの軌跡シリーズの良いところの一つですね。

支援をこなすことにより、各人物の性格や過去を垣間見ることができ、

それがちょっとしたイベントになっているのです。

そのため、楽しくあれもこれもとプレイすることができるようになっています。

この辺の魅せ方は実に上手いです。

 

今回も集めることのできる本のシリーズですが、

ちょっとしたおまけとは思えないほどクオリティの高い作品に仕上がっており、

これだけで一つの短編小説の仕上がりになっています。

このレベルの高さは毎回感心してしまいますね。

他の書籍も図書館で見ることができるのですが、

小説や絵本仕立てのそれはどれもこれもかなり良い出来となっていて、

ストーリーを中断してついつい魅入ってしまうほどでした。

闇医者グレンシリーズは集めるのが非常に難しいのですが、

攻略本や攻略サイトを駆使してぜひとも見てほしいと思います。

 

 

システム自体は軌跡シリーズとほぼ一緒です。

変更点としては、チェインクラフトがコンビクラフトに変わっており、

今回はある特定の人物二人の組み合わせになっているのと、

全員で攻撃するチームラッシュ、攻撃を外した時のカウンター攻撃、

パーティメンバー以外がサポートクラフトをたまに使ってくれるのが変更点でしょうか。

ただ、サポートクラフトの件ですがプレイヤーが任意で入れることはできず、

また、パーティメンバーは最大4人で、

それ以上の人数になって初めてサポートにつく人物ができるですが、

4人以上になることがめったにないので

そのシステムの恩恵にあずかれないのが残念です。

戦闘に関してはそれぐらいで、特にコメントするポイントがありません。

ある程度完成されているシステムであり、

あまりいじる余地がないといえばないのですが、

マンネリ化してきているので、もうちょっと手を加えてほしいと思います。

 

 

グラフィックはPSPとしては平均的ですね。

発色が良く、綺麗なのですが建物や車がポリゴンっぽく、

かくかくしているのが残念でしょうか。

また、ミニキャラクターの出来は非常に良いのですが、

ミニキャラクターに演技させていることが多いので、

もうちょっとムービーを使ってほしいと思います。

 

システムは快適であり、

PSPの最大の難点であるローディングの長さは

メモリインストールがなくともほとんど感じられません。

画面の変わるポイント、セーブ時のローディングも軽く、

PSPとしては快適に作られていると思います。

少々気になる点が音飛びです。

私のPSPが悪いのかもしれませんが、

時折音飛びが発生していました。

ゲームのプレイには支障はありませんでしたが、

音楽にちょっと雑音のようなものが一瞬混じるので、ちょっと不快でしたね。

気になる点はそのぐらいでしょうか。

 

 

 

プレイ時間は、サブイベントをフルコンプリートして70時間。

実績は1850ptです。

すべての要素をクリアせず、ストーリーを最短で

追ったとしても40〜50時間ぐらいはかかるでしょうか。

あちこち引っかかっているととにかくどんどんボリュームが増えていきます。

 

細かなところにも気を配り、大事に大事に仕上げられた作品です。

その様は、まさにマイスターの仕事ですね。

非常に丁寧に作られた作品であり、

他社にも是非とも見習ってほしいレベルです。

愛情を持って作られているのがとてもわかります。

 

ただし、非常に箱庭的であり、舞台の規模はとても小さいです。

そして謎をたくさん残した終わり方をしており、

次回作を作る気満々のエンディングですので、

その辺は人を選びます。

 

問題はそのぐらいで、ストーリーの良いRPGを遊びたいというのならば

満足の出来る作品だと思います。

世界を救うのはもう飽きたという方ならば是非。

とても大事に温められているシリーズであり、

次回作が非常に楽しみな作品です。



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