ソルフェージュ

Sweet harmony

 

一言レビュー

可愛らしい絵だが、ストーリーは意外と欝

 

グラフィック 8点
シナリオ 8点
ボリューム 8点
快適さ 8点
満足度 7点
総プレイ時間 60時間
総合評価 80点

 

 

魔導楽器フォルテール。

魔力を持つ特殊な者にしか、

弾く事はおろか音を出すことも出来ない特殊な楽器。

フォルテールは心を映す楽器とも言われ、

奏者の心が音にダイレクトに反映される。

 

幼い頃のある日、宮藤かぐらは父親に連れられて、パーティ会場に来ていた。

大人たちのつまらない会話に飽き飽きしていたかぐらは、

フォルテールを見事な技量で弾きこなす少女に一目で心を奪われる。

その少女が自分の再従妹の高屋すくねであることを父に聞き、

ふらふらとすくねを求めてパーティ会場の奥深くに入り込み、

かぐらはすくねと再会する。

それを機に一気に仲の良くなった二人は姉妹のように睦まじく時を過ごし、

かぐらはすくねに教わって簡単な曲ならばフォルテールを弾けるようになり、

二人はよくフォルテールでセッションを行っていた。

 

指折りのフォルテール奏者で、成績もトップクラス、

美しくて、優しいすくねと過ごす時間は、

幸せで、楽しくて。

しかし、夢のような時間は突如として終わりを告げる。

突然の父の海外への転勤。

まだ子供のかぐらは両親についていかなければならない。

激しく嫌がるかぐらをすくねは宥め、何とか海外へと送り出した。

 

それから3年後。

両親をようよう説得し、すくねの祖母、

高屋葵の別宅へ居候することを条件に、

かぐらは日本へ戻ることを許された。

夢に見たすくねとの再会。

入学式後に再び会ったすくねは、他人行儀に微笑みながら、

「はじめまして」

と告げた。

 

 

全くかぐらのことを覚えていないすくねに戸惑いつつ、

学園の由緒あるコンクールのデュエット部門に抜擢されたかぐらは、

パートナー探しに奔走する、というのが大まかなストーリー。

 

少女たちの淡い恋心と憧れを描いた、

ふわふわとしたパウダーシュガーのような物語かと思えば、

実際はかぐらや友人が延々と悩み続け、

そちらが解決したかと思うとパートナーが煮詰まってしまうという、

どちらかというと始終欝なストーリーです。

確かに可愛らしく、甘いひと時もなくはないのですが、

とにかく徹頭徹尾、悩み、迷う。

ふんわりとした、とろけるように幸せなストーリーを楽しみたい、

という方にはあまり向かないでしょう。

 

ただしその心理描写はうまいと思います。

少女たちの純真で綺麗な想いを、繊細に描いています。

未熟ゆえにうつろい、相手の事を思うが故に迷う。

そういうみずみずしい青さを描いたストーリーですね。

ですが、すくねの謎はすくねルートへ進まなければ放置されてしまいます。

特に全員を攻略しなければいけない、というわけではありませんが、

喉に刺さった骨のような感じになりますので、

誰かお気に入りのパートナーと、

すくねの2ルートは最低限攻略した方がいいでしょう。

 

そして新たに加わった新キャラクター2人なのですが、

彼女達のルートは実は本筋から分離しており、

1年の時のストーリーはなかったこととして

塗り替えられているのがちょっと残念です。

確かに二人は一年後輩ですので、

かぐらの一年の時のパートナーから彼女達に乗り換える、

という形になってしまうので、それも仕方がないのでしょうが。

 

PSPで付け加えられた、各パートナーの後編ストーリー(かぐら2年生編)ですが、

後輩二人(新キャラクター)が体全体でかぐらへの好意を表現しており、

彼女達の存在でパートナーとの信頼と想いが揺らいでいく、

という微妙な心理の描き方、そしてそれでも更に強い絆で結ばれる、

という終わり方は飲み口がすっきりとしており、

綺麗に纏まっていていいと思います。

 

このゲームの最大のキモになっているフォルテールのセッションですが、

音楽としてみるとどちらかというと良い方、なのですが

フォルテールの特殊性、魅力が全く表現できていないのは正直拍子抜け。

単にエレクトーンで曲を引きながら、歌っているのと大差ありません。

そういう意味では、音楽そのものを全く生かしきれておらず、

調子が悪いとか何とか言っている割にはいつもと同じ曲調だったり、

プレイヤーが上手く弾けて高得点を取ってしまったりと、

首を捻ることしきりです。

表現自体をもっと凝ってほしかったと思います。

 

またフォルテールの形自身も問題で、

あれだけ作中でフォルテールは特別な楽器で、

心さえも操作することが可能、といわれている不思議な楽器にもかかわらず、

エレクトーンとどこが違うのかさっぱり分かりません。

せめてビジュアルぐらいは最低限特殊性を表現してほしかったですね。

 

このゲームは百合ストーリーですが、同姓に恋しちゃった!

といった類の戸惑い、悩みは一切なく、

純粋な好意と微笑ましい執着のみで描かれており、

周りも全くその手の類は問題視しておらず、

百合ストーリー初心者にもすんなりと受け入れ易いので、

こういうアドベンチャーは初めて、という方に特にお勧めです。

 

 

システムは概ね良く、細かに設定も出来、相当快適です。

唯一問題なのがフォルテールの演奏時で、

これのローディングがどうしてもスキップできません。

システムでフォルテールの演奏時は「自動演奏」にしている時のみ、

フォルテール演奏のスキップが可能なのですが、

(自動演奏にしていなければ一切フォルテールのスキップ不可)

それでも曲名の表示と曲のデータのローディング、

奏者がフォルテールの横に出てきてあいさつが終わるまで、

ぼーと見続けて改めて演奏のキャンセルをしなければならないのが苦痛です。

フォルテールの演奏はストーリー上でも結構出てきますので、

フォルテール演奏時のローディングスキップもつけてほしかったですね。

後は特に問題ありません。

 

 

アクションパートのフォルテールの演奏・セッションですが、

PSPに移植する際に簡易化されており、

十字キーと右の○×△□ボタン、計8ボタンを押す、いわゆる音ゲーになっています。

 

ボタンが表示されれば順序は関係なく押せば良いことになっていて、

初心者にも簡単で、親しみ易い仕様になっており、

よっぽどの下手でない限りはゲームオーバーになることはありません。

左から赤、黄、緑と帯状になっており、アイコンは右から左へと流れます。

緑より黄、黄より赤の帯の位置で

対応のボタンを押すほど高得点になっていて、

こういうアクションの得意な人でもやり応えのあるものになっており、

またフォルテール演奏のみ、一度演奏したものならば

TOPページから何度でも遊べるようになっていて、

スコアをいくらでも塗り替えられるようになっているのは良いシステムですね。

相当高い得点を出しても、特に何かあるわけではありませんが、

純粋に音ゲーを楽しむのも面白いです。

 

またアクションパートが苦手な人用に、

フォルテール演奏のスキップが可能になっているのもいいと思います。

 

 

グラフィックですが、少女マンガチックな、

繊細でふわふわとした愛くるしい絵柄です。

パッケージ絵とゲーム内で使われているCG・立ち絵にも殆ど差異はなく、

CGの顔立ちもあまりばらつきがなく、上手に描かれています。

原画家氏の絵の魅力を十二分に生かした、繊細な水彩画風の塗り、

やわらかな色彩使いは非常に綺麗ですね。

作風に良くあっている愛らしい絵柄だと思います。

ミニキャラクターも可愛らしく、各キャラクターの特徴を良く掴んでいます。

 

CGの枚数は差分抜きで90枚。

差分の枚数は概ね問題ないのですが、

ボリュームの割には少しCGの枚数が少ないのが気になります。

後20〜30枚ぐらいはほしかったですね。

せっかく華やかで、透明感のある綺麗な絵なのにもったいないと思います。

 

 

プレイ時間は表示されないので正確にはわかりませんが、約60時間。

全員を自力で攻略しているために私のクリア時間は長めです。

全ヒロインクリア、全エンディング、全CGを回収しています。

攻略サイトを頼って40〜50時間、

2ルートクリアで20〜30時間ぐらいでしょうか。

ボリュームはまずまず〜多めですね。

 

色々と問題も指摘していますが、百合ストーリー初心者にもお勧めです。

少女たちの淡い恋心、女子高、お姉さま

といったフレーズにピピンと来て、絵が気に入れば買いでしょう。

ただし、どちらかというと欝ストーリーなので、

そういうのが嫌いな方には向きません。




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