シュタインズ・ゲート ゼロ

 

 

一言レビュー

全てはシュタインズゲートへ至る

 

グラフィック 6点
シナリオ 8点
ボリューム 7点
快適さ 9点
満足度 8点
総プレイ時間 23時間
総合評価 78点

 

 

 

最初に、今作は本編である、

シュタインズ・ゲートの重大なネタバレがあります。

そもそも、本作は本編をプレイしていることが大前提の、

初心者完全お断り仕様になっているため、

これだけを独立して読まれる方はまずいないとは思いますが、

それでもよろしい方はお進みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今作は本編の終盤、一度過去へ行き、

牧瀬紅莉栖の救出に失敗するどころか、

岡部倫太郎自身が彼女を殺してしまい、

一旦未来へ帰ってきて、その後紅莉栖を助けることに

挫けてしまうというところから始まります。

 

本編では叱咤激励して過去へ戻るようにと言ったまゆりは、

もう一度過去へ戻ることを強制する鈴羽から岡部を庇い、

もう頑張らなくていいと慰めた。

とうとう心を壊し、精神的に不安定になった倫太郎は、

今までかぶっていた厨二病の仮面をかなぐり捨て、

その日以来、未来ガジェット研究所に行くのをやめた。

紅莉栖を救えなかったことにより、精神を病んだ倫太郎は、

精神科に通いながら、普通の大学生として生きていくことを決めます。

 

11月23日、倫太郎はアキハバラ・テクノフォーラムでの

コンベションの受付に立っていた。

紅莉栖が在籍していたヴィクトル・コンドリア大学と

共同研究を行っている井崎准教授の助手を務め、

井崎教授の伝手を使って

ヴィクトル・コンドリア大学へ行って紅莉栖のやっていたことの

手伝いが出来ないかと模索していた倫太郎は、

井崎准教授の手伝いで学生の出欠チェックをしていた。

 

そこに現れたのは、ボサボサの髪をした中学生ぐらいの女の子。

何かの間違いで紛れ込んだのかと思えば、

彼女はヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所所属の研究員であり、

既に成人していると比屋定真帆は険悪な表情で睨む。

アレクシス・レスキネン教授の助手兼通訳として来たのだという。

 

今回のコンベションでの最後の公演は、

公演最大の目玉であるレスキネン教授の物だった。

人の記憶を抽出し、その抽出したデータを元の脳に書き戻す研究をしており、

その過程で人間の記憶をそのまま移植し、

人間そっくりのAIを作るのにも成功したのだという。

それは、紅莉栖が研究していた技術を用いたものだった。

次いでプロジェクターに現れたのは、真帆。

彼女は真帆の記憶をもとに作られたAI『Amadeus』システムだった。

 

その公演で悪目立ちした倫太郎はレスキネン教授に気に入られ、

紅莉栖の友人だということも判明し、

紅莉栖の記憶をもとに作られたAIアマデウス紅莉栖の

話し相手をしてもらえないかと頼まれた。

 

 

 

もう一度過去へ戻り、シュタインズゲートへ至る改革を強制する鈴羽と、

それを拒絶し続ける倫太郎。

そして紅莉栖にかかわりのある教授に依頼され、

紅莉栖の記憶をもとに作られたAIと会話をこなし、

日常を送っていくうちに、再び過去改変が行われ、

主人公は世界線を移動していくことになります。

 

今作は続編と謳ってはいますが、正確にはそうではなく、

本編の中で語られなかった別の世界線の物語であり、

シュタインズゲートへ至る為に必要な世界線の物語です。

もっと正確にいうと、ドラマCDである「夢幻遠点のアークライト」の

ストーリーを膨らませて一本のゲームにしたのが本作になります。

 

終盤で鳳凰院凶真がムービー付きDメールを送ることになった

過程の世界線の出来事であり、

過去改変に失敗して帰ってきたオカリンを慰めず、

「まゆりが平手打ちしてもう一度過去へ向かわせる」ように、

まゆりを説得するためのお話で、

本作より数ヵ月先が描かれていますが、

続編ではありません。

ただ、そのDメールを送る、まゆりを説得するという二つを巡り、

どのような物語があったのか、という話の膨らませ方が非常に上手い。

新キャラクターを加えても、破たんすることなく

本編に上手に繋げているのにも感心しました。

 

要するに、本来ならば本編に内包されるべきだったが、

本編に含まれなかったストーリーなのですね。

ですので、どちらかというと外伝的であり、

終着点はやはり本編の

「境界線上のシュタインズゲート」のルートになります。

それを知らず、謳い文句通りに続編であることを期待すると、

肩透かしを食らうので要注意です。

これをプレイすると、本編をもう一度プレイしたくなります。

この話の続きは、本編の二度目の過去へ戻るルートに繋がるからです。

最後のトゥルーエンドでは本編のトゥルールートは語られず、

さあこれからだというところで終わる為、

やや盛り上がりに欠けます。

最後は大雑把にでも「境界線上のシュタインズゲート」のルートを

書いた方がすっきり追われたのではないでしょうか。

もしくは、本編の後の未来をもうちょっと描くなど。

 

 

 

 

システムは概ね快適です。

Vitaでアドベンチャーをプレイするにあたって最大の難点である、

オートモード中に光度が落ちるというのはプログラム側で制御されており、

オートモード中は手放しでも光度が落ちず、

履歴表示中やシステム設定等、画面を動かさない時や

オートモードをキャンセルしてページ送りをしない時のみ

光度が落ちるようになっています。

システムもアドベンチャーに必須なシステムはほとんど搭載されています。

セーブデータがその時の場面とどのルートかの

表示しかないのはちょっと見辛く感じました。

あとは、履歴からのジャンプがあったらよかったと思います。

 

そして、残念なことが一つ。

文章の履歴がシングルアクションで見られないことです。

文章の履歴を見るには、スタートボタンを押してシステム画面に移行し、

BACK LOGボタンを押さなければいけません。

それがいささか面倒でした。

 

 

 

 

グラフィックは非常に癖のあるタイプの絵柄。

独特の目の塗り方をしています。

前作では木漏れ日がちらちら零れ落ちるような

独特の絣のような塗をしていましたが、

今作はややグレーがかった鈍いくすんだ色合いなものの、

比較的普通の塗ですが、いささか華やぎに欠けるのが難点。

前回の塗のほうが良かったかと思います。

 

立ち絵は比較的安定しており魅力的なのですが、

何と今作はCGが立ち絵より明らかに見劣りするものが大多数で、

非常に残念感が漂います。

顔立ちも明らかに立ち絵と違っているものが多数あり、

構図も完成度があまり高くなく、

ここまで魅力のないCGが多いのも珍しい。

 

CGの枚数は差分抜きで101枚プラスおまけが3枚。

ただし、101枚の内16枚が前作の流用になりますので、

実質的な枚数は85枚になりますが、

ボリュームがあまりないのでこれでも十分かと思います。

 

 

 

 

プレイ時間は約23時間。

時間が表示されるタイプですので正確な時間です。

プラチナトロフィーを取得しています。

 

完全続編と謳われていますが、それを期待すると肩透かしを食らいます。

また、初心者は完全お断り仕様であり、

少なくとも本編であるシュタインズ・ゲートをプレイしていることが必須です。

出来れば本編の最終章の過去改変に失敗したあたりで止め、

この作品をプレイ後に本編トゥルールートへ進んで

〆るのが一番良いプレイ方法かと思います。

 

ドラマCDの「夢幻遠点のアークライト」の話を膨らませた、

脇のストーリーとしてみると非常に優秀です。

プレイヤーをぐいぐいとひきこむ魔力のような、

独特の魅力を放つストーリーはなかなか良かった。

その分、終盤のちょっと尻すぼみになってしまった点は残念です。

出来れば次回は未来のストーリーを期待します。




HOME    BACK

inserted by FC2 system