サモンナイト エクステーゼ

夜明けの翼

 

一言レビュー

着眼点は悪くないが、洗練されていない

 

グラフィック 8点
シナリオ 8点
ボリューム 5点
快適さ 8点
満足度 5点
総プレイ時間 42時間
総合評価 68点

 

 

シミュレーションRPGのサモンナイトシリーズの

外伝に当たるアクションRPGです。

 

サモンナイトらしさを壊さずに、

アクションが初心者でも楽しく遊べるように

難易度は低めに作られています。

 

エイナ、レオンという、一つの体を二人の心が共有しているという設定で、

片一方にしか倒せない敵がおり、二人をチェンジして

ダンジョンをクリアしていく趣向は、とても良いと思います。

また、ダンジョンギミックを召還獣で

クリアしていくのも、着眼点は悪くありません。

 

ストーリーも先が気になり、謎が謎を呼び、テンポよく進むので、

プレイヤーを飽きさせない作りです。

次々と起こる事件が、とても楽しかったですね。

シナリオの完成度は、今までのサモンナイトシリーズで比べると、

一、二を争うぐらいでしょうか。

良い出来だと思います。

 

グラフィックは2Dですが、

サモンナイトの可愛らしい雰囲気や絵柄は2D向けであり、

3Dにすると反対にサモンナイトの魅力がぶち壊しになるので、

2Dで良いと思います。

 

立ち絵のばらつきも少なく、

今回イラストレーターさんが変わっているのですが、

それも違和感無く、綺麗に作られている作品です。

ただ、立ち絵の動きが無いのと、

バリエーションが少ないのがちょっと気になりました。

まばたきぐらいはさせて欲しいかと。

 

初めてアクションRPGを作ったのなら、

まずまずの出来には仕上がっています。

 

 

ただ、他作品に比べれば沢山穴があると言うわけで、

難点を下に挙げます。

 

1.ボリュームが少ない

圧倒的にプレイ時間が足りません。

エイナ、レオン主人公で1週ずつし、

イベントは全部クリア、召還獣も全て集め、

エンディングコンプリート、CGもコンプリートしましたが、

初プレイで25時間、2週目で17時間はちょっと短すぎると思います。

 

ストーリーだけを追いかけていけば、

15時間かからないのではないでしょうか?

せっかく魅力のあるキャラクターが描かれているのに、

各自のサブイベントが殆どないため、もったいないと思います。

 

また、やりこみ要素も少なく、

サモンナイトシリーズの特徴の一つである夜会話は、

エイナ、レオン間でしかなく、

2人の主人公どちらではじめてもストーリーは変わりませんので、

何週もしようとする気がおきません。

 

エンディングもバリエーションがあるものの、

各主人公間でしかないため、他キャラとのエンディングも

あってよかったのではないかな、と思います。

 

 

2.アクションの難易度が低い

そもそも私はアクションゲームが苦手でしたので、

難易度はこれぐらいでいいのですが、

アクションゲームがお好きな方は断然物足らなかったと思います。

難易度を変える設定があったらよかったのではないでしょうか。

 

ただ、それでも力押しでクリアできてしまうため、

やっぱり物足りないかな…。

 

戦闘中に召還獣を召還して、

一緒に戦ったり、魔法を使ったりするのですが、

ほぼ100%の敵が剣攻撃で簡単に倒せるので、

そもそもかなり意識しないと召還獣を使わないのです。

この点は、後ほど詳しく述べます。

 

 

3.ダンジョンギミックが容易

ギミックもあるにはあるのですが、頭を使う必要の無いものばかりです。

召還獣の使い方の説明が殆ど無いので、どれを使うのか悩まされますが、

そもそも、召還獣を召還しさえすれば、

簡単にクリアできてしまいます。

 

また、1、2回しか使用しない召還獣がほとんどで、

この設定はあんまり活かされていません。

 

そうではなく、召還獣とダンジョンギミックの

組み合わせが欲しかったですね。

例えば、ある燭台に召還獣を使って炎をともらせ、

ある燭台の炎を消し、決められた図形にする、とか。

ただ召還すればよいのではなく、

もっとパズル要素が欲しかったです。

 

それと、この召還獣を集めるのにいささか問題があります。

召還獣を召還するには、

名前のかけらを集める必要があるのですが、

そのダンジョンクリアに必須の召還獣がいるにもかかわらず、

そのダンジョンマップで名前のかけらが全部集まらないのです。

 

中には、かなり前のダンジョンの敵キャラクターがランダムで

落としたりするのも珍しくないので、

攻略本か攻略サイトが無ければ、

ストーリーの進行がぴたりと止まる可能性が高いです。

 

集める必要の無い召還獣ならともかく、

クリア必須の召還獣は、

そのダンジョン内で集められるようにするべきだと思います。

 

 

4.召還獣の設定が生かされていない

召還獣は全部で20種類。

これを多いととるか、少ないと取るかはちょっと微妙ですが、

各召還獣が生かされていないのは確かです。

 

まず、ダンジョンギミック等で使用するのが18あります。

これは、多すぎると思います。

使い捨てで、二度と使用しない召還獣が殆どで、

実にもったいない。

 

それに、役割がダブっている召還獣が多いですね。

あるアイテムを取るのに、必要になる召還獣が4つあります。

宝箱の形とか、人では取れない位置にあるアイテムとか、

ひと目でどの召還獣を使うのかわかるのですが、

これは一つでいいと思います。

 

ダンジョンギミックに使う召還獣は、

エイナ4、レオン4ぐらいで

ちょうど良いような気がしますね。

 

召還獣は、召還して魔法として使ったり、

一緒に戦ってもらったりするのですが、

これも役割がダブっている召還獣が多いですね。

それに、本来力押しでクリアできてしまうので、

魔法として召還する必要性が無く、

魔法召還する意味が皆無です。

 

剣には滅法強いが、魔法には極端に弱い敵を3割ぐらい作って、

なおかつ、レオンが召還したほうが強い、では無く、

レオンしか、エイナしか、召還できない

召還獣を作るべきだったと思います。

こうすれば、戦闘にメリハリが利き、

なおかつ2人のキャラクターをチェンジする

必要性が特に出てくると思います。

 

召還獣を憑依させて、

パラメーターの底上げや、ある特定の要素の強度を

はかることが出来るのですが、

これもなんだかどっちつかずですね。

その恩恵が感じられませんし、

こちらも役割のダブっている召還獣が多いです。

毒の強度をあげる、ではなく、毒無効、などして、

各ダンジョンにいやらしい攻撃をしてくる

敵を増やしたらよかったのではないかなと思います。

 

ぱっと思いつくのでもこれぐらいでしょうか。

とにかく役割のダブっている召還獣が多いです。

召還専用、ギミック専用、憑依専用と、

役割をきっぱりと分けたほうが良かったのではないでしょうか。

そうすれば、もうちょっと召還獣の数を増やせたでしょうし。

 

 

後細かい所を上げると、

街マップ、ダンジョンマップの数が少ない、

同じダンジョンに数回行かされる、

世界全体が狭すぎる、ぐらいでしょうか。

 

世界全体が狭すぎる、というのは、

シリーズ全体のあまり良くない特徴です。

もう少し世界が広くてもいいのではないかな、と思います。

 

 

 

なんだか色々悪い点も書いたのですが、ほのぼの遊べた作品でした。

プレイ時間が短かったため、

ちょっとあっけない所はありましたが、

楽しんでプレイしたことは確かです。

 

結構売れ残って安売りされているようですが、

これにめげず、もうちょっと完成度の高い続編を

作って欲しいと思います。

 

最近のゲーム業界を見ていて思うのですが、

プレイ時間・やりこみ要素の

薄い作品は、評価が低く、安売りされやすいようですね。

 

着眼点、ソース自体は悪くないのに、料理方法がよくないので、

実にもったいない作品でした。



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