サモンナイト4

 

一言感想

エンディングが奇妙に爽やか

 

グラフィック 8点
シナリオ 4点
ボリューム 9点
快適さ 7点
満足度 8点
総プレイ時間 140時間
総合評価 70点

 

 

サモンナイトシリーズ4作目。

可愛らしい絵柄の割にはやや難しめのシミュレーションRPGです。

このゲームはとにかくキャラクター達が魅力的なゲームです。

キャラゲーの一種でもあり、キャラクターごとに個別エンディングがあって、

2週目以降で追加される限定イベント、限定個別エンドがあり、

主人公も男女2種類いる。

とにかくやりこみ要素の強いゲームです。

 

世界観はサモンナイトシリーズ共通で、

独特の世界観がとにかく魅力的ですね。

他の外伝的なゲームも含め、幾つもシリーズを作ってきているだけあり、

しっかりと根付いた、骨太で練り込まれた世界設定は、

見事なまでに組み立てられています。

 

世界観は実にいい。いいのですけど…。

今回はとにかくストーリーがグダグダ。

途中で停滞してしまってちっとも進まず、足踏み状態になりますし、

物語の起伏にも乏しいです。

今回は主人公が竜の子を守るというのが大筋のストーリーなのですが、

どうしてここまで主人公が意固地になって

竜の子を守ろうとするのかがちょっと分かりません。

自分が傷ついてでも必死で守るのですが、

もうちょっと竜の子とのエピソードを織り込んで、

何故そこまで竜の子を想うのか丁寧に語っていかなければ、

理由付けとしてはかなり弱いと思います。

 

また、ご都合主義なストーリー展開があり、

かなり矛盾しているところがあるのが

ストーリーの完成度を低くさせています。

そして更にひどいのが共通エンディング部分。

とあるキャラクターの珍妙なまでの爽やかさは、

首を傾げるのを通り越して、気持ち悪かったぐらいです。

最近だんだんシナリオの質が落ちて行っている様な気がしますね。

 

 

グラフィックは2Dを採用していますが、とても綺麗です。

サモンナイトの魅力のひとつに、

共通してキャラクターを描かれている方の

絵の魅力が多分にあると思います。

この方の絵は3Dでは完璧に再現できないと思いますので、

このシリーズは是非ともこのまま2Dでいってほしいですね。

 

オープニングもProduction I.Gが手がけただけはあり、

ゲーム中のキャラクターとは印象が違うものの、

それが気にならないぐらいハイレベル。

 

ただ問題がいくつかあり…、

作中で使われているムービーは全てオープニングムービーの使いまわし、

エンディングテロップもオープニングムービーの使いまわし。

とにかく使い回しをするのはやめていただきたいです。

2Dで容量をとっていませんので、作中のムービーは

単独で作って欲しかったですね。

特に嫌なのがエンディングムービー。

オープニングのものをアレンジするだけなのはお願いだから

やらないで頂きたいです。

あれならば背景画や人物の立ち絵を

表示してもらったほうがずっと良かったぐらいですね。

 

また、違和感バリバリなのが立ち絵です。

絵としては原作者の絵をかなり上手に再現しているのですが、

このゲームに出てくるキャラクターたちはとにかく

衣服の類のデザインに凝っていて、

左右非対称の人物が殆どです。

それなのに、立ち絵は反対向きになる時、

そのまま絵をひっくり返して表示しています。

要するに、髪の飾りや服の飾りが右に行ったり左に行ったりしています。

とにかく変です。

何も考えず、手間隙惜しんでそのまま使いまわすのは止めてほしいです。

物凄く気になりました。

もうちょっといろいろなところに気配りをして欲しい作品ですね。

 

このゲームは立ち絵を表示させてキャラクターたちに会話をさせ、

ストーリーを進めていくタイプなのですが、

ひと画面に表示される人物にも限りがあり、

演出面ではかなり弱いです。

何がどうなっているのか分からないところがあり、

囲まれた、と言う割には画面に表示されるのはせいぜい3人ぐらい。

紙芝居的な演出では限りがあるあるので、

せっかくチビキャラの2Dの出来がいいのですから、

このチビキャラも表示させて、

もうちょっと演出面を強化して欲しいですね。

あるいは作中に一枚絵を表示させるか、ですね。

 

 

このゲームの魅力であるシミュレーションパートですが、

さすがに長い間システムを作ってきたこともあり、安定しています。

ただ、ユニットがマップ上のあらゆる部分に散らばっている場合、

手動でユニットを捕まえに行かなければいけないのが大変でした。

Rボタン等でユニットの変更が出来ればよかったですね。

システムの画面でユニットを捕まえることも可能ですが、

システム画面を表示し、ユニット一覧を表示させ、

まだ行動できるユニットを選ぶより

手動で捕まえにいくほうが早かったですから。

 

今回武器の持ち替えが戦闘中に出来るようになっており、

これがなかなか良い試みだと思います。

本武器とサブ武器を装備することが出来、

攻撃後にも装備を変更できるので、

色々な戦術を立てることが出来るようになっています。

殆どのユニットが直接攻撃と間接攻撃の装備が可能になっていて、

戦術の幅が広がって楽しかったですね。

 

そして今回から出来るようになったレベルドレイン。

ある程度レベルのある状態のユニットは、

パラメーターが不要なところにも振られていて、

低レベルのユニットから育てたユニットより弱かったりしたのですが、

今回レベルドレインでLv1に落として育てなおすことが可能になっている事により、

どのユニットも強く育てることが出来るようになっています。

 

このサモンナイトシリーズは満遍なくポイントを振ってゆくと、

器用貧乏なユニットになってしまいます。

ですので、あらかじめばらけてポイントの振られている高レベルキャラは

使えないユニットが結構いるのですが、

このシステムによりどのユニットも最初から育てれば

かなり強く、使い勝手が良いユニットになりますね。

絶対使わないキャラというものが必ずあったのですが、

これによりどのキャラも安定して使えるようになっています。

好きなキャラでも弱いために使えないというのがあったのですが、

心置きなく好きなキャラを使えるようになっていますね。

 

また、クラスチェンジというものもなかなか良いシステムです。

どちらへクラスチェンジするかによって自動的に振られるパラメーターが変化し、

覚える特技等が違ってきて、

ユニットにより特色が出てきていますね。

今回はあるレベルに達成すれば(ユニットにより差がある)

クラスチェンジ可能になっており、

ある特定のパラメーターが基準以上でないとクラスチェンジできなかった

2作目よりもかなり設定が生きてきています。

 

ユニット数は本シナリオで仲間に出来るのは総勢15人。

(竜の子の種類、主人公の性別差を含まず)

今までキャラクターが多すぎて、

大量の戦闘に参加できないユニットがいたのですが、

今回、人数は良いバランスになっていると思います。

ただ、一属性Sクラスになる召喚師ユニットが

各一人ずつしかいないというのはかなり辛いですね。

また、竜の子、主人公がSクラスになれないというのも辛いところ。

鬼属性で唯一Sになるユニットは、

直接攻撃キャラにするとかなり強くなっても、

召喚師としてはMPが低すぎるため、

結局は召喚師には一度もしませんでした。

この辺もちょっともったいなかったですね。

 

前作から引き続いてのブレイブというシステムも

かなりいいレベルまで仕上げてきています。

ブレイブとは、そのステージに設定されているレベル以下のレベルで、

なおかつ指定アイテムを特定数以上使わないというのが条件ですが、

これは難易度が上がって良いですね。

ただ、ステージによって簡単にブレイブ可能なものと、

異常に難しいステージがあるのが難点ですね。

もう少し難易度のレベル差を平らにして欲しいところ。

 

また、ブレイブクリアを狙わなければ、

シミュレーションが苦手な人でもクリアできるように、

フリーバトルでいくらでもレベルを上げられるというのはいいポイントです。

 

今回料理というシステムがあります。

悪くはないのですが、料理をするという実感が希薄なため、

いまひとつ面白みにかけますね。

もうちょっと何かのアクションが欲しいです。

料理一つ一つに丁寧なコメントが付いているのは

実にいい味を出しているのですが、

そのかわり、戦闘で使ったときの効果が表示されていないのは非常に痛いです。

どのぐらいHPやMP、ステータス異常が回復されるのか全く分かりません。

いちいち攻略本を見るか、

アイテム欄を表示させて見るのは非常に面倒でした。

 

また、料理をするのに材料とレシピが必須なのですが、

材料がお米以外購入できないのも辛いです。

材料(お米除く)と殆どのレシピは

ミニゲームかフリーバトルでしか入手できないので、

ミニゲーム・フリーバトルがどうしても必須になっています。

 

このサモンナイトシリーズはミニゲームが

シンプルな作りながらなかなか面白いのですが、

とにかく何かを集めよう、何かをしようとすると

まずミニゲーム・フリーバトルありきになっています。

上記のものでしか手に入れられないアイテムが殆どで、

しかも章が変わるごとに入手できるアイテムが変わるため、

章の始めにまずミニゲームの類を必ずしなければならないのが辛いです。

あと、ランダム要素のあるミニゲームはそろそろ廃止して欲しいところ。

もうちょっとこの辺を改善して欲しいですね。

 

 

私のプレイ時間は140時間。

男主人公、女主人公で1週ずつ、合計2週プレイしました。

見たエンディング数は7、

無限回廊は最後まではプレイしていません。

丁寧にプレイしたために私のプレイ時間はすごいことになっていますが、

普通にプレイすると40時間前後になるでしょうか。

やりこもうとすれば、どこまでもプレイ時間の長くなる、

とにかくやりこみ要素の高いゲームですね。

従来からのプレイヤーへのサービスも旺盛で、

にやりとくるものもあり、サモンナイトファンならば

ストーリー以外は納得の出来るレベルでしょう。

これで前作の主人公が直接出てくるともっと良かったのですが。

ただ、初めてプレイするという方にはこの辺は

ちょっと付いていけないところがあるかもしれませんね。

 

これでストーリーさえ並み以上ならば、と惜しまれます。

ストーリー重視の方には向かないゲームです。

また、システムももっと洗練される余地はあると思います。

ギリギリ通常レベルになるでしょうか。

ボリュームなどいらない、または一ENDしか見ない、

という方はもっと点数が低くなるでしょう。

とにかく次回作はストーリーをもうちょっと頑張って欲しいですね。



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