祝福のカンパネラ Portable

 

一言レビュー

全女性にモテまくりの常にハーレムストーリー

 

グラフィック 6点
シナリオ 6点
ボリューム 9点
快適さ 7点
満足度 6点
総プレイ時間 67時間
総合評価 67点

 

 

エールをエネルギーとして使う技術が発展している世界の、

海に囲まれた国エルタリア。

一年に一度のお祭りの収穫祭を間近に控えたある日。

今年はその収穫祭の中でも七年に一度、

エールの流星群が見られる年ともあって、

いつも以上に観光客が多く、街は賑わいを見せていた。

エルタリア公女、カリーナがクラン(いわゆるギルド)マスターを務める

冒険者クランOasisのアイテム技師であり、冒険者である主人公レスターは

賑わっている街へと繰り出していた。

その時に仲良くなった、人形技師アニエスと神殿騎士チェルシー、

レスターの母であるシェリー、カリーナ、ニナ達と共に、

今夜降るというエール流星群をこの町で一番の高台である

エルタリア大聖堂で見ることになった。

 

空を埋め尽くすエールの流星群に魅入る中、

数多降る星の一つがこのエルタリア大聖堂目指して真っすぐに降りてくる。

エールの流星は強いエールを持つものに惹かれる性質があり、

エールの落ちたところは貴重なアイテムや

強い力を持つ昌石が眠っていることが多い。

落ちてきたエールを追いかけたどり着いたのは、大聖堂の隠し部屋だった。

そこには人と外見が寸分違わぬ、

感情を持つ人工生命体オートマタが活動を停止して眠りについていた。

強いエールの力を受けて目覚めたオートマタの少女ミネットは、

レスターを見てにっこりと微笑んでこう告げた。

「では、レスターがわたしのパパですね!」

 

オートマタの少女が目覚め、流星群の日に出会ったアニエスがクランに加わり、

チェルシーがクランに出入りすることになったことにより、

一気に賑やかになったOasisが色々な依頼を受け、

冒険を続けるうちに話が展開していきます。

人間ほどのサイズを持つオートマタの原動力(コア)は伝説のアイテム級である

アーティファクトであり、ミネットの持つコア

魂白珠(アニマベルラ)を狙う人物達と攻防を続け、

収穫祭を境にとある女性との仲が深まっていきます。

 

とにかく物語はスロースターター。

まったり、のんびりと進めていく共通ルート、

クランOasisとして依頼を受けて冒険に出かけ、

とにかく出てくる女性陣にもれなくモテまくりの主人公が

女の子に囲まれて好意以上のセリフを雨あられと言われ続けられる、

という部分がとにかく長い。

レスターの場合は自分がモテているということをはっきりと自覚しており、

顔も技師としての実力も、さらに剣の腕っぷしも兼ね添え、

なおかつ全女性に気遣いを欠かさない八方美人兼才色兼備タイプ。

天は特定の人物に何物も与えまくるという見本のようなキャラクターです。

さらに女性陣の好意をわかっていながら、

あえて知らないふり、気づかないふりをしているので、

前述のことも相まってそれが随所で非常に鼻につく感じです。

 

そしてシンプルを通り越して簡素であり、

ズバリ言いきってしまうと面倒でチープな戦闘システムが

共通ルートのかったるさに拍車をかけてしまっています。

レベルの概念はなく、ただ適当なキャラクターで3連続に攻撃をし、

三番目は主人公にすればいいという戦闘システムは、

入れる意味があったのかと首を傾げます。

一対一のバトルは少々考える必要がありますが、

それでも適当にやっていれば勝ててしまいます。

 

とにかくこの共通ルートのテンポが悪いですね。

延々と似たようなストーリーを見続けているような気にさせられ、

で、いつになったら個別ルートに進むのですか?

と思わず言いたくなってしまいます。

 

どの依頼でも展開そのものはだいたい同じ。

モンスターを倒したりアイテム収集に行ったりする途中で

ライバルクランであるトルティアカンパニーの双子姉妹の茶々が入り、

常に女性陣にモテまくりながら依頼を達成していくというのが

共通ルートでの大まかなお話です。

その中で受けた依頼と選択肢によりカーリナ・チェルシールート、

アニエス・ミネットルートの大きく二つに分かれ、

最後の選択肢でそのどちらかを選ぶと収穫祭を機に分岐し、

そこからはオリジナルのルートが進むのですが、

金太郎飴的なその共通ルートがどうしようもなく長く、

1週目は共通ルートだけで15時間かかりました。

ヒロインの個別ルートは10時間強であり、

なんと1週目のプレイ時間は個人差がありますが

23〜28時間ぐらいになります。

共通ルートが物語のテンポそのものを殺いでしまっている感が

非常に強い作品です。

 

そして個別ルートなのですが、ヒロイン独自の設定を

上手に利用してストーリーを組み立てているものの、

こちらのストーリーでも、常に女性陣にモテまくり。

半分冗談、半分本気で第二夫人の座を狙う女性陣に囲まれて、

ああ、共通ルートで幾度も見たパターンだと

辟易してしまうのは大減点ポイントです。

魅力はきちんとあります。

ただし、水増し感、同じパターン的展開たっぷりです。

 

 

アドベンチャー系に必要なシステムはきちんと揃っています。

細かなシステム設定もでき、

システムの種類自体は結構快適だと思います。

ボイスハイライトという、音声再生中のBGMを下げるシステムもあり、

履歴からのロードも搭載。

クイックセーブ・ロード、オートセーブもあり。

セーブがセーブ日時、プレイ時間、シーンタイトル、

ルート名しか表示されないのが非常に残念です。

しかも、上記の表示も一つずつ、□ボタンを押さなければならず、

どのデータがどの時のセーブか非常にわかりづらくなっています。

とても気になるのは、立ち絵が切り替わるときに

テキストと立ち絵の表示の遅延が数秒あることと、

スキップ中の立ち絵切り替え時に頻繁に引っかかる点ですね。

 

問題があるのは上記三点、セーブ、立ち絵切り替え時の遅延、

スキップ時の引っ掛かりです。

他のシステムが結構いい出来なだけに

ここはちょっともったいないですね。

 

 

 

グラフィックですが、可愛らしい系の、比較的万人向けタイプ。

ただし、可愛らしすぎて美しいという表現ができていません。

美しい、神秘的と表現されていても、常に可愛らしい面立ちなだけに

その辺の描き分けをがんばってほしかったのですが、まあ、及第点でしょう。

色の塗はふんわりとした色合いで丁寧で明るく、

透明感のある塗りであり、イラストにマッチしています。

立ち絵と比べると違和感のある顔のイラストもいくつかありますが、

概ねバランスよく描かれています。

CGの方にちょっと癖がある、ぐらいでしょうか。

立ち絵は異常に魅力的であり、その種類、表現の仕方は素晴らしいですね。

ストーリーに合わせて微妙に縮尺したり、またお辞儀をするように細かに動かしたり等、

立ち絵の演出のセンスは見事の一言です。

 

戦闘時に表示される敵のグラフィックなのですが、

無駄に可愛らしいのには首を傾げます。

擬人化されたファンシーなお花さんや

クマさんが敵だったときは正直驚きました。

まあ、可愛らしい敵キャラクターが

一つ二つぐらいはいるだろうと思っていたら、

ほとんどの敵キャラクターが

こういう可愛らしいタイプだったのは落胆しましたね。

もう少し、この辺は何とかならなかったのかと

思わずにはいられません。

 

CGの枚数は差分抜きで約73枚。

その内デフォルメ絵は9枚と、実質的な完成度の高いCGは64枚ほど。

差分は多すぎるのではないかと思うほど沢山あるものの、

アドベンチャーとしてはボリュームたっぷりの

プレイ時間と釣り合いが取れていない枚数です。

ここにCGが欲しかった、

ここはCGを使うべきであろうというポイントが随所に炸裂。

ヒロインルートに進んでも数枚しか

オープンしないという驚異的な少なさです。

メインヒロインであるカリーナですら

ヒロインルートでも差分抜きで5枚しかオープンしません。

中には25枚もの驚異の差分枚数を誇るCGが存在しており、

情熱を込めるポイントを間違っているのではないかと思います。

差分より実質的な種類の枚数を優先すべきでしょう。

そしてCGを閲覧できるグラフィックモードでは同じCGでも、

他ヒロインルートで表示された分は違うCGとして表示されているため、

水増し感たっぷりです。

とにかく圧倒的にCGの枚数が足りないところは減点ポイントです。

最低でもこの倍近く、差分抜きで130〜150枚ぐらいは欲しかったところです。

 

 

プレイ時間は、全エンディング、全CGをコンプして67時間。

1週目の共通ルートが15時間、各ヒロインルートが10時間強、

メインストーリーで62時間程度、

おまけのエクストラストーリーが5時間ほどです。

シーンタイトルの回収漏れが少しあります。

 

4人のヒロインしかいない割にはかなりのボリュームがあるものの、

その分色々と詰まっているのかというとそうではなく、

金太郎飴的展開や共通ルートが異常に長いのが少々ネック。

そして共通ルートに多い戦闘のシステムの悪さがさらに足を引っ張ります。

個別のヒロインルートのお話は結構良いのですが、

こちらでも共通ルートで見た会話が目白押しで、

とにかく間延び間のあるテンポの悪い作品です。

 

CGの枚数も異常に少ないのは、

立ち絵の演出に優れているだけにもったいないです。

システムも基本的に良いものの、セーブシステムはダメで、

立ち絵の切り替え時の読み込みの遅さも

頻繁に起こるだけにイライラさせられます。

魅力は随所にあります。

ただ、致命的というほどひどくはありませんが、

あちこちに不満点があるのが非常に残念な作品です。

上記を踏まえて大丈夫、ハーレム上等という方ならばという感じでしょうか。

悪くはないのですが、もう少し頑張ってほしかったですね。




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