テイルズ オブ グレイセス エフ

 

一言感想

思いが空回りするRPG

 

グラフィック 8点
シナリオ 5点
ボリューム 9点
システム 10点
快適さ 9点
満足度 8点
総プレイ時間 75時間
総合評価 80点

 

 

Wiiで発売されたゲームをPS3に移植し、

本編半年後のストーリー「未来への系譜編」を付け足し、

サブイベント、チャット、秘奥義、アクセルモード等をプラスしています。

未来への系譜編は15〜20時間ほどですので、

追加されたストーリーとしては結構多めのボリュームですね。

本編終了後のラストムービーに至る道筋にあたるストーリーであり、

未来への系譜編を終了して初めて完結するという形をとっています。

 

さて、本編なのですが。

これが結構グダグダであり、主人公であるアスベルが

今何をしたいのか、ということがきちんと定まっておらず、

考えがその時その時でふらふらするので、

目的や意志がはっきりしておらず、

その場の状況に流されて場当たり的に行動しているように思えます。

そして基本的に偉い人の使いっ走りとして動かされており、

自発的に起こした行動があまりないというのも気になりました。

自分で動くのではなく、運命になす術もなく、

ただ流されているようにも見えるため、

ストーリーの山場というものが特になく、

小波がゆるゆる来て最後にちょっと大波が来たかという感じに思えてしまいます。

 

大切なものを守りたい、という主人公の思いは良くわかるのですが、

守るに足るだけの力や覚悟がないために思いが盛大に空回りしており、

ではどれを一番に守りたいのか、それを守るために今自分は何ができるのか、

というものが本人すらもきちんと見定められていないことが多く、

序盤では特に考えや行動が両極端に走ることもあり、余計にそう思えます。

なんというか…終盤近くまで、あれもこれも守りたいと欲張った挙句、

どれもこれも中途半端になっているという気がしました。

その為、ストーリー的には首を傾げるところが結構あり、

出来はあまりいいとは言えません。

 

ただし、未来への系譜編では考えがきっちりとまとまっており、

行動は一貫性を保っていて、ラストへ向かって綺麗な道筋を描いています。

この点から見てみると、後述のアクセルモードの追加も相まって、

本編よりも未来への系譜編の方が面白かったと言えるほどです。

 

テイルズ恒例になっているサブイベントですが、

今までのテイルズ全体で共通するサブイベントの煩雑さが

この作品ではずいぶん軽減されています。

だいたいの作品では時限イベントが多く、世界中をあちこち

駆けずり回らなければならないサブイベントが多かったため、

サブイベントをちょっとこなそうとするとストーリーのテンポを

一気に崩してしまっていたのですが、

今回は基本的に今いる町や、すぐ近くの場所、

今から行く場所でサブイベントがこなせるようになっており、

サブイベントの悪癖を大分取り除いていたのは好印象ですね。

このおかげで随分ストーリーに集中でき、

またサブイベントにほとんど煩わされることがなくなりました。

 

 

戦闘はPS2版のデスティニーのシステムの進化系で、

スタイルシフトリニアモーションバトルシステムを採用しています。

TPではなく、攻撃を止めたりクリティカルを決めたりすることで回復する

チェイン・キャパを使用しています。

今までは○ボタンは通常攻撃、×ボタンは術技という使い分けだったのですが、

今回は○も×もどちらも今までのいわゆる術技にあたり、

○と×で攻撃方法やモーションが違うという、

スタイルを切り替えて戦う戦闘方法になっています。

これが結構素晴らしく、シリーズ最大の面白さになっていると

いっても過言ではありません。

 

さて、実際の攻撃方法なのですが、

×ボタンは従来通り、術技を指定し、4つの技を左スティックの向きで

指定して出すというタイプで、B攻撃と言います。

実は技を出してから×ボタンを押し続けることにより、

セットしているものとは違う別の技を発動することもできるらしいのですが、

これは高等者向けのテクニックですね。

それに対して○ボタンはA攻撃と言い、

左スティックをどの向きにするかで

繰り出される攻撃が変化してゆき、最大4タイプ、4段階に変化するという、

左スティックの組み合わせで

13タイプの中から4種類を繰り出すことが可能になっています。

先のB攻撃と合わせて17種類の攻撃を

プレイヤーのテクニックで発動させることができ、

高等者はさらに多い種類の攻撃を繰り出すことも可能であり、

攻撃のバリエーションとしては目を見張るものがあります。

 

戦闘中の行動により増えるエレスゲージが満タンになると

エレライズという、CCが減らず、立て続けに術技を出すことが可能で、

のけ反らなくなり、ある程度コンボをつなげると

L1ボタンを押すだけで秘奥義を発動できるというシステムもなかなか派手でよく、

簡単なのに見栄えの良い戦闘システムになっています。

また、未来への系譜編のみという制限はあるのですが、

アクセルモードという、キャラクターごとに変化のある特性が付加され、

第四の秘奥義も追加されるシステムも面白かったですね。

未来への系譜編だけではなく、本編から追加されていたら

もっと面白かったと思うので、その辺はちょっと残念でしょうか。

 

さて、今回良い方向に気になったのが、コンボのつながり方です。

私のような下手な者はすぐにコンボが途切れてしまっていたのですが、

今回は非常にコンボがつながりやすくなっているのです。

キャラクターごとにコンボ数を稼げる術技が結構あり、

前述のとおりA攻撃でも複数ヒットするというのもそうだと思うのですが、

最大の着目点は、ワンテンポコンボが途切れたとしても、

すぐに攻撃を与えればコンボがつながるようになっているというところです。

これにより、下手な者でも結構簡単にコンボがつながるようになっており、

中盤から終盤にかけて術技が増えてくると、40コンボくらいなら

下手でも狙ってつなげられるようになっています。

また、今までのテイルズでは100コンボなど私の場合夢のまた夢状態だったのですが、

このおかげで幾度か100コンボ以上を出すこともできました。

コンボが簡単につながるということは、戦闘の爽快感をかなり増すということであり、

苦手な者でも非常に楽しめるようになっているのは特筆すべき点です。

そして実は、ある一定以上のコンボをつなげると、

エレライズ中ではなくても秘奥義を出すことができるようになっていて、

かなり簡単に秘奥義を発動することも可能になっているのもうれしいポイントでした。

おかげで楽しくコンボをつなげることができ、

シリーズ中最も戦闘が楽しかった作品でした。

 

 

スキルや術技を覚えるのは称号をセットし、

指定のSPポイントをためるとステータスの底上げをしたり、

術技やスキルを覚えたりするようになっています。

スキルなどは一度覚えれば常に付加されている状態になっています。

装備するスキルを常に付け替えるという煩わしさは払拭されていますね。

 

後は、料理などはエレスポットにセットすると、

料理を消費せず、エレスポットのエナジーを消費して

自動に効果が発動されたり、セットするものをアイテムにすると

アイテムが増えたりするというシステムも結構良かったです。

エレスポットは使い込むごとに容量が増えていくのですが、

安価で補充できるので非常に使いやすく、便利でした。

 

二つのアイテムを掛け合わせて違うアイテムを作ったり、

武器をさらに性能の良いものに強化したりできるデュアライズですが、

はまる人は結構はまると思うのですが、

武器関連のデュアライズは複雑・高価であり、あまりしませんでした。

ので、この辺はきちんと評価できません。

 

 

グラフィックはヴェスペリアより大分綺麗で

表情が自然・豊かになっています。

デフォルトされたアニメ調なのですが、イラストに近い3Dタイプ。

テイルズはもう、リアルではなくこういう路線で行って欲しいと思います。

等身がちょっと低めなのが気になるぐらいでしょうか。

重要なシーンはアニメーションで展開されるのですが、

このムービーの出来が今までの物に比べてあまりよくないのが気になりました。

オープニングムービーがゲーム中のイベントムービーの

組み合わせが多いのも非常に残念ですね。

 

 

プレイ時間は、サブイベントを9割がたコンプリートして

本編58時間、未来の系譜編17時間、合計75時間です。

闘技場関連、クリア後に解放される最強ダンジョンは触れていません。

すべての要素をクリアせず、

ストーリーを最短で追ったとしたら

本編は40〜50時間弱ぐらい、

未来への系譜編を入れると60〜65時間ぐらいだと思います。

RPGとして、ボリュームは多めですね

 

戦闘が非常に楽しい作品で、戦闘という観点から見ると

シリーズ最高の面白さだと思います。

その反対に、グダグダになっているストーリーがどうしようもなく駄目でした。

これさえ普通レベルならば、もっと良い作品になっていただけに残念でなりません。

ストーリー最重視、という方にはあまりお勧めできませんが、

今までのテイルズが好きであり、テイルズタイプの戦闘が気に入っている、

という方ならばとても楽しく遊べる作品です。

戦闘重視タイプの方にはお勧めですね。



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