テイルズオブハーツ

 

一言感想

そのボリュームは圧巻

 

グラフィック 9点
シナリオ 6点
ボリューム 10点
快適さ 9点
満足度 7点
総プレイ時間 82時間
総合評価 84点

 

 

心を題材にしたその名のとおりハーツ。

人の心の中(スピルメイズという)に入ることの出来る武器ソーマと、

二千年の間続いてきたある二人の人物の戦いから、

この星と、空に浮かぶ白と黒の二つの月の謎に迫るというストーリーです。

中盤まではテンポ良く、どんどん謎が明らかにされていきますが、

それ以降からやや中弛みしだします。

中盤からはある目的のために、そこに至る道をあちこち行って探す、

といった具合で、このあたりで終盤までのストーリーが見えてきてしまいますね。

携帯機とは思えないボリュームなのですが、

終盤はもうちょっとすっきり短く終わったほうが

綺麗に終われたのではないかな、と思います。

そういう意味では、ちょっとストーリーを

ずるずると引っ張りすぎているきらいがありますね。

この辺がストーリーはあまり良くない、と言われる所以かと思います。

中盤の山場までは面白いのですが。

 

 

サブイベントは大変豊富で、

今までの据え置き機のテイルズ並みのボリュームです。

ただし、かなり水増しされている感が否めません。

それと言うのも、サブイベントの大半がスピルメイズという、

ランダムダンジョンに入らなければならないからです。

このランダムダンジョンですが、左下に数字が表示され、

移動する度にその数字が減っていきます。

この数字が0になると問答無用でゲームオーバーになるのですが、

この数字を増やすには、スピルメイズにある赤い箱を開けるか、

敵シンボルとぶつかってエンカウントするかの2択しかなく、

またこのダンジョンが幾層にも分かれているため、

どうしても長くなりがちです。

そして最後の層に辿り着いても、その人物が本音を隠し立てなく

勝手にぺらぺらと喋りだして、時にはアイテムをもらえるだけであり、

これならば現実世界でも十分聞きだすことが可能では?

と思うようなちょっとした秘密だった場合、

たっぷり時間をかけさせられた挙句ですので

がっくり来るものがあるのも確かです。

 

ただ、ボリュームはあり、

後に述べるキャラクターの強化にアイテムがいるのですが、

このダンジョンでかなりの数が収集できるのは便利ですし、

サブイベントの数が豊富で満腹感はあります。

確かにこれは心を題材にした作品であり、

スピルメイズがこのゲームのキモになっているのですが、

単調で退屈な割にはたいしたことが無いのはちょっと辛いです。

もうちょっとスピルメイズの層を減らし、

スピルメイズに入るサブイベントを減らして

違う類のサブイベントを入れてほしかったと思います。

 

 

戦闘の基本はデスティニーのシステムを継承した

コンビネーションエアーリアルという、

戦闘フィールドは平面なものの、数段階空中を飛び上がれるシステムです。

今回はどちらかと言うと空中戦よりも、

仲間と協力というのに焦点をおいているようですね。

戦闘に参加していないメンバーの技を

DSのタッチパネルに登録し(戦闘参加キャラでも登録・発動可能)、

それを戦闘中にタッチすることにより、

キャラクターが攻撃や回復・補助魔法をしてくれます。

 

技を繰り出すにはいわゆるTPではなく、

戦闘中に攻撃の手を止めることにより回復する、EGというものを使用しており、

TPがなくなるのを恐れて平坦な攻撃しか出来なかったストレスを払拭。

デスティニーではすぐに無くなってこまめに攻撃の手を止めなければならなかった

チェイン・キャパではなく、TPのようなポイント制を採用することにより、

更に連続で攻撃を続けることが出来るようになっています。

通常攻撃や、技を出すたびにEGが消費され、

EGがなくなると攻撃すら出来なくなりますが、

攻撃を一旦止めるとEGが回復する仕様はデスティニーと同じ。

ただしその容量が更に増しており、デスティニーより

大量に繰り出せる技が面白いですね。

これが実に良く、コンボや技を決めていくというのが

テイルズシリーズの魅力のひとつなのですが、

その魅力を大いに生かしていると思います。

 

今回はCGというものも加わっており、

これは攻撃や技を繰り出したりする毎に溜まっていきます。

敵をのけぞらした時にCGを大量に消費して、

いわゆる必殺技ともいえるコンビネーションブラスターを放つことが出来ます。

これが結構爽快なのですが、チュートリアルがあまり丁寧でないので、

使った人はあまりいなかったのではないかと思います。

また上記で上げた、控えメンバーの技を繰り出した場合もCGが消費され、

無限に仲間の手助けを当てに出来ないようになっています。

 

パネルに控えメンバーのある特定の技を登録し、

操作キャラクターがある技を使っている時に仲間のある特定の技をタッチし、

なおかつその人物と一定の好感度がある場合、

合技という、二人の術技を組み合わせて放つ特殊な技があるのですが、

私の場合全く使いませんでした。

バリエーションが極端に少なく、特殊な操作をしなければならないにもかかわらず、

チュートリアルの類が不十分なため、存在を知っている人すら稀だと思います。

例えばシング(主人公)とコハク(ヒロイン)の場合、存在する合技は2つだけ。

二人とも術技を30ほど覚えるのに、

(後に述べる武器進化ソーマエボルブで覚える数は違ってくる)

二人とも同時にある特定の術技を指定しなければいけないわけです。

これが偶然に出せるわけがありません。

知っていてもなかなか出せません。

これははっきり言って無駄なシステムでしたね。

もっと簡単に、なおかつ多彩なバリエーションが存在しており、

知らないままでも簡単に繰り出せるのならいざ知らず、

物凄く狙いに狙ってようよう出せる技で、

そういうものがあることすら気付かず、また存在は辛うじて知っていても

一度も使用しない内にゲームが終わってしまうようでは、

あっても無くっても同じです。

実際に使用した人は極端に少なかったかと思います。

あっても使用してもらえないシステムでは、

作っただけ無駄だったのではないでしょうか。

 

 

キャラクターの能力のカスタマイズであるソーマエボルブは、

ソーディアンディバイスの進化系で、更に複雑化されています。

武器のタイプは大まかに分けて赤・青・緑と3タイプあり、

どれを習得していくかでパラメータスキルとサポートスキル、

バトルスキルで覚えるものが違ってきます。

これがキャラクターのカスタマイズで、

パラメータUPを取るか、技を取るか、サポートを取るかが悩ましく、

3つのタイプでは武器の性能も違ってきます。

ですので、あまり極端な選択をし続けると使いづらいキャラに仕上がってしまいます。

一度選択してしまうとやり直しがきかないのに、

どういうものなのかあまりヒントが無いのは厳しいですね。

せめてどの術技を覚えるか選択する前に表示してほしかったと思います。

ただしこのキャラクターのカスタマイズという点では面白く、

さらにスキルを覚えても、習得できているわけではありません。

スキルをきちんと習得し、反映させるには

ある特定のアイテム(数種)が必要になってきます。

要するにこれで無限に成長し続けることは無く、

戦闘を繰り返してストーリーに見合わず極端に強くなりすぎないという、

バランスを上手に取っているわけです。

ただし少々まどろっこしいものがあります。

見えているのに必要なアイテムがいつまで経っても集まらないため、

習得できないというジレンマが存在しています。

 

スキルに、キャラクター同士の好感度(ソーマリンク)が

高くなるに従って覚えていくものもあるのですが、

ソーマエボルブで覚えられそうなものばかりなので、

ありがたみがあまり感じられません。

ですので、あえてキャラクター同士を仲良くしようとする気が起きませんでした。

もっとはっきりとした特殊性をもたせれば

良かったのではないかと思います。

 

今回は料理ではなく、シンプルに治癒石というものに変更になっています。

使用条件、回復量、追加効果の3種類が

それぞれこちらで指定できるので、

初めは面食らうものの、使ってみると

こちらの方が使いやすくなっています。

ただしちょっと味気なくなってしまっていますが。

テイルズといえば料理で、それぞれのコメントや

料理に関するサブイベントが結構好きでしたので、少々残念で、

あえて言うのならば面白みや遊びを持たせてほしかったかなと思います。

 

エンカウントはシンボルエンカウントであり、

敵に気付かれてからでも十分振り切って逃げることが可能になっています。

ダンジョンのサイズは丁度いいですね。

広くも無く、狭くも無く。

DSとしてはこのぐらいがジャストだと思います。

エンカウントとダンジョンのサイズのバランスも良く、

上手にボリュームを調整してきていると思います。

 

後は、メインストーリー中はなんとフルボイスです。

DS始まって以来なのではないでしょうか。

長いストーリー本編を全部しゃべらせる弊害として音質がかなり悪く、

ヘッドフォンで聞いてみると明らかに音割れしているのですが、

良くこれだけ詰め込んだと感心しました。

スキットはフルボイスではありませんが、

それでも頑張って出来るだけ入れてあります。

 

システム関連ではこんなものでしょうか。

このゲームのキモである心を題材にした、

スピルメイズ、ソーマリンク、合技は派手に空回りしている感がありますが、

テイルズの基本的な戦闘部分は

全体的にバランスよく纏め上げられていると思います。

 

 

グラフィックですが、3Dは排除して、

温かみのある質の良い2Dを採用しています。

ストーリー前半と終盤に集中的に入るムービーは、

クオリティは圧縮しているためあまり良くありませんが、

アニメーション自体は質が良くできています。

また、アニメーションの数が豊富。

ただし前述の通り、前・終盤に集中してしまっていたのがちょっと残念ですね。

もうちょっとばらして、前半、中盤、後半と

バランスよくちりばめていただきたかったと思います。

後は特に問題はありません。

DSでこれだけの長いムービーが幾つも入れられたことに驚愕しました。

とても頑張っていると思います。

 

 

プレイ時間は、サブイベントを9割方コンプリートして82時間。

闘技場とEND後のダンジョンには挑戦していません。

サブイベントに一切関わらず、ストーリーを追って行くだけでも

40時間ぐらいはあると思います。

そのボリュームは圧巻。

とてもDSのゲームとは思えません。

イベントごとにボイスはたっぷり入っていますし、

チャットでもかなりボイス入りが存在しており、

様々な要素が据え置き機に限りなく近づけてあります。

DSの容量を限界まで、目一杯まで使うと

これほどすごいのか、と感嘆いたしました。

 

DSのゲームの中では、ボリュームが群を抜いているでしょう。

ただし、手軽に、空き時間にチョコチョコやるゲームを求めている方は向きません。

昨今の、ボリュームの足らないDSのRPGに

物足りなさを感じていた方には是非ともお勧めしたいゲーム。

色んな所が贅沢にできていると思います。

DSとしては高い値段がうなずけるクオリティでした。



HOME    BACK

inserted by FC2 system