ティアーズ・トゥ・ティアラ外伝

−アヴァロンの謎−

 

一言感想

使い回し90%で戦闘が大幅に進化

 

グラフィック 4点
シナリオ 8点
ボリューム 7点
快適さ 8点
システム 9点
満足度 9点
総プレイ時間 43時間
総合評価 76点

 

 

前作でのエンディング後、しばらく経ってからのストーリーです。

アヴァロンの塔最上階に設置されていた魔道具・天球儀が突如として起動し、

アヴァロンが膨大な蔦で覆われてしまった。

そして先に塔へと修繕に向かっていた者達は一向に帰ってこない。

何が起こったのか調べるために残った数人で塔へと向かうが、

残った者達も散り散りに異界へと飛ばされてしまった。

 

異界へと化したアルビオン島で、

何とかアロウン、アルサル、リアンノン、オガムは合流するが、

他の者たちは何者かに操られ、

アロウン達を葬り去るように命令されていた。

操られている仲間を実力行使で倒し、

彼らに巻きついている糸「因果の糸」を回収すると、

彼らは誰に操られていたのか記憶がばっさりと抜け落ちている。

仲間達から次々と因果の糸を抜き取って彼らを再度集め、

この世界の支配者を探り、元いた世界へ戻る道を模索する、というストーリー。

 

 

設定自体は上手に前作を使用し、なおかつ見事に世界を再構築しています。

綺麗に終わったあの後をどうするのかと思っていたのですが、

世界観はそのままに、きちんと謎と秘密を作って

プレイヤーを惹きつける設定は実に巧みです。

とにかくキャラクターがそれぞれ魅力的なゲームでしたが、

その彼らの魅力はそのままに、新たな世界へと調和させ、

なめらかに動かして見せる手腕は流石です。

 

ただし、あくまでもファンディスクですので、

前作をプレイしていない方はお断り仕様です。

魅力的なキャラクター達ともう一度あの世界で遊ぼうという、

完全にファンディスクです。

とにかく、戦闘フィールドも立ち絵も、敵キャラクターも

ほぼ全部と言っていいぐらいの徹底的な使いまわし&リアレンジですので、

こういうのが嫌いな人は絶対に向きません。

また、フルプライスですが一本の新作のレベルを期待してはいけません。

あくまでもファンディスクである、というのを念頭に置いておけば、

純粋に楽しめると思います。

 

 

グラフィックですが、とても魅力的で愛らしい絵柄。

本編と同じく二人の絵師さんが原画を手がけているらしく、

立ち絵とCGとキャラクターイラストの差もなく、

とても綺麗に描かれています。

立ち絵はほぼ前作の使いまわしで、追加の立ち絵がほとんどないのが残念です。

 

CGの枚数は12枚。

いくらファンディスクとはいえ、驚異的な少なさです。

一画面で全部のCGが表示されるのは唖然とさせられました。

そのうち1枚は人物無しで、差分のあるCGは3枚。

クオリティは十分ですが、お話になりません。

せめてここぐらいは力を入れてほしかった。

あまりの少なさに点数は大減点してあります。

3Dのキャラクター達は前作そのままですので割愛します。

アニメーションですが、大分出来の悪かった前作よりかなり改善されていますね。

キャラクターの顔の造作、塗りともに前作とは段違いです。

といっても、一流どころ程のレベルはありませんが、

まずまずのものに仕上がっています。

 

 

次にシミュレーションパートですが、ここが劇的に改善されています。

このゲームで最も評価したいのがこの戦闘パートの進化ですね。

基本的な部分は非常にオーソドックスなタイプになっています。

今作の戦闘のキモになっているチェンジリングシステムですが、

これがかなり良い感じに調整されています。

SRPGは沢山のキャラクターが仲間になるわけなのですが、

どうしても使わないキャラクターが大多数になってしまいます。

前作ではメインキャラクターが少なすぎて傭兵を雇うのが半ば必須だったわけですが、

今回は出撃できる人数を少なくし、

メンバーを増やし、なおかつ出撃していられるターンを

アロウン以外は3〜6ターンに制限する事により、

控えのメンバーとくるくると入れ替えて戦うことが必須になっています。

 

実際プレイしてみるこれがとかなり面白い。

控えのキャラクターとすぐさま何のペナルティもなくチェンジでき、

またチェンジして即座に攻撃できるのもいいですね。

キャラクターをくるくるとチェンジすることが必須となっているのですが、

これが制限という足かせにはならず、バリエーションへと変貌を遂げています。

全員を満遍なく使ってやれるのがすごく良いです。

戦略の幅が広がっていて面白かったですね。

世界観を利用して、全キャラクターを

戦闘で使わなければならないという設定の

チェンジリングシステムの出来は唸るものがありました。

戦闘の難易度もなかなか絶妙ですし、

私はNormalでプレイしましたが、苦戦するステージもありました。

 

今回新たに加わったアイテムの合成ですが、ごく普通のシステム。

元となる武器の類と合成用のアイテム数点で

新たなアイテムを作り出すというシステムです。

難易度の高いアヴァロンのなぞをクリアするのならば必要なようですが、

通常のプレイではあまり要りません。

あくまでもおまけ程度と考えると良いでしょう。

後のシステムは前作のものをほぼ引き継いでいるため割愛します。

 

 

基本システムはローディングがかなり短縮されました。

今回はインストール有りでプレイしたせいかもしれませんが、

セーブが10秒、ロードが5秒、シミュレーションフィールドの表示に5秒ほど、

シュミレーションフィールドから全体マップフィールドに2秒と

かなり軽く仕上がっています。

 

アドベンチャーパートのシステムは前作を踏襲。

スキップがボタン押しっぱなしでなければならないのと、

アドベンチャーパート中にセーブできないのは

前作どおりでちょっと気になりますが、

基本は抑えた快適なシステムです。

戦闘速度も調整でき、最速にすると抜群にテンポ良く戦闘ができて、

とても良いシステムだったと思います。

インストール有りでプレイするとまず不満のないシステムに仕上がっています。

 

プレイ時間は、一周して43時間。

通常のプレイでは一週30〜40時間ぐらいかかると思います。

ゲーム終了後のやりこみ要素の強いアヴァロンのなぞをプレイすると、

70時間ぐらいになると思います。

ボリュームは少ない目〜多い目ですね。

 

今回は戦闘システムが劇的に改善されています。

面白くなった戦闘システムでさらに難易度の高いダンジョンをプレイしよう!

という意味合いもこめて100層からなるアヴァロンのなぞも完備と、

やりこみ要素も盛り込まれています。

 

ストーリーは前作プレイを前提に作られており、

あくまでもファンディスクですが前作でのストーリー、

キャラクターを気に入っていたのならば満足できると思います。

キャラクターの活かしかた、魅せ方等は抜群。

前作での世界観を上手に利用して再構築したストーリーもなかなかの出来です。

新作並みの期待をしなければ十分なレベルに仕上がっています。

ただし、使い回し90%とCGの異常なまでの少なさは覚悟しなければいけません。




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