うたわれるもの

 

二人の白皇

 

一言感想

有終の美を飾る

 

グラフィック 9点
シナリオ 10点
ボリューム 9点
システム 8点
快適さ 8点
満足度 10点
総プレイ時間 89時間
総合評価 99点

 

 

 

注 意

前作の阿鼻叫喚の終わりあたりから始まりますので、

以降のレビューは前作「偽りの仮面」の盛大なネタバレになります。

それでも良い方は下へお進みください。

 

 

 

 

 

 

物語は姫殿下であるアンジュを連れて、

大半の者がエンナカムイにたどり着き、

クオンが去って行った直後から始まります。

 

エンナカムイは平和で素朴な国で、自然の城壁に囲まれており、

また旨味もあまりないという土地柄から兵士もお金も兵糧も少ない。

そんな中、帝都では偽物のアンジュが即位し、国を治めていた。

オシュトルの影武者にならざるを得なかったハクは、

「 我らが抱える姫殿下こそが本物 」と周りの国々に喧伝するも、

ライコウの策にはめられ、加勢してくれる国は少なく、

兵が少ないために帝都へと攻め上がるわけにもいかないというジレンマに陥っていた。

 

国に帰っていたクオンは、自らの力を開放した代償に、

目が覚めるとヤマトでの記憶を失っていた。

違和感を覚えつつも、母親や姉たちに暖かく見守られる日々。

クロウがもたらしたヤマトの情報を聞いて徐々に記憶を取り戻したクオンは、

城から飛び出すも姉やベナウィにクオンだけが行っても

ほとんど何の助けにもならないと説得され、

一つ、強く心に決めていた。

 

クオンに去られ、自分ではない人物を

演じなければならなくなったハクは、

何もかもが足らず、追い詰められていることを承知で、

容赦のない非情な手段に手を染め、

紅蓮の運命を疾走していくことになります。

 

 

とにかく物語が魅力的。

離ればなれになった二人がいつ再開するのか、

仲間たちがいつハクだと気づくのか。

ハクとネコネの苦悶という、なんとも言い難い運命の渦に

プレイヤーも引きずり込まれていくことになります。

プレイしていて先が非常に気になり、

睡眠時間と生活時間をギリギリまで削ってどんどん進めてしまいました。

一週間で40時間のプレイ時間という、

驚異的なプレイ時間を叩き出したゲームは久しぶりでした。

 

厳しい状況から始まるわけですが、

その中でも日常パートが絶妙に挟み込まれており、

殺伐としたシーンばかりでなかったのもなかなか良かった。

大きな時代のうねりに翻弄されつつも懸命に立ち向かい、

劣勢を覆していく壮大さも上手に描き切っており、

また、うたわれるもの三部作の最終作に相応しい、

前二作を見事にまとめて昇華している様も素晴らしいです。

一作目の散りゆく者への子守唄の人物も大量に出てくるために、

半ば一作目プレイ必須、二作目は絶対必須になっていますが、

前二作をプレイしてでも今作をプレイしてほしいと思うぐらい、

見事な出来になっています。

 

 

 

次にシュミレーションパートなのですが、

基本的なシステムは全作を踏襲しています。

前作でプレイヤー側のあまりの被ダメージ数が多かったのを反省したのか、

こちらが受けるダメージが大分控えめになっています。

後は連撃のダメージや効果のバランス調整も行っていますね。

連撃の種類が増えた人物もいるのですが、

基本的なシステムは全作とほぼ同じです。

 

今作で増えたのは協撃と協撃必殺技。

二人の人物が攻撃可能な位置におり、

なおかつ攻撃を始める人物が気力100の時に二人で攻撃できるのが協撃、

ある特定の人物と攻撃の組み合わせで必殺技まで繋げて出来るのが協撃必殺技です。

協撃は比較的やりやすく、協撃が出来る場合は攻撃範囲に表示されるために

あまり狙わずともできるのですが、

協撃必殺技を狙って起こすのは至難の業です。

もうちょっと協撃必殺技のバリエーションを増やし、

誰とでもできるようにしてお手軽にして欲しかったですね。

スティングは、このごく限られた場合、

狙いまくらないとできない類のシステムを盛り込むのが困ったところ。

 

それ以外は問題なく、大分バランスの良い調整をしてくれたと思います。

殆どのキャラクターが撤退することもなくなり、

かなりプレイしやすくなりました。

 

 

 

システムですが、アドベンチャーに必要なものはほぼ揃っています。

文章の履歴も見られるのですが、

1行ずつなのがちょっと辛いのも相変わらずですね。

全画面表示で画面全体に表示してほしかった。

散りゆく者への子守唄にはあった

シーン回想というアドベンチャーパートの再現が復活しており、

いつでも好きなシーンを見られるのは非常に良かった。

 

 

 

グラフィックは塗り、キャラクター共に最高水準で非常に魅力的。

はっと目を引く独特の魅力がありますね。

色の塗りはふわりとした柔らかな塗りながら美しく、構図も華があります。

やや可愛らしいものの、万人向けのデザインで、

あまり好き嫌いの分かれないタイプかと思います。

渋いも可愛いも綺麗も、上手に描き分けるタイプ。

今回は立ち絵とCGの目に少々違和感があるのが残念です。

立ち絵は前作の物をほぼ再利用して、

せいぜい表情や衣装バリエーションが増えているぐらいなので、

その点は仕方がないでしょうか。

チビキャラも可愛らしく、本来の絵をデフォルメして、

上手に表現しています。

 

CGの枚数は差分抜きで53枚、

ギャラリーに入らない夢幻演武クリア後に表示される

隠しCGがプラス1枚、合計54枚と、

アドベンチャーに偏っているゲームとしては

前作から大分ボリュームがアップした割には少々物足りません。

もう10〜20枚ぐらいは欲しかった。

 

 

 

プレイ時間は、ストーリーに集中してレベル上げをほとんど行わず、

本編クリアに46時間。

クリア後に解放される難易度の高い夢幻演武をクリアして70時間、

プラチナトロフィーを取得に88時間、

オシュトルのみBPマックスで89時間です。

 

夢幻演武はBP稼ぎ必須で、

ほとんどのキャラクターがBPを大分稼がないとクリアできません。

夢幻演武の内容はとんでも展開、ボイス無しなのですが、

あの人との夢の競演などもあり、

シリーズプレイ者としてはなかなか楽しくプレイできました。

今作の夢幻演武はプレイお勧めなのですが、

難易度が高いためにSRPGが苦手な人は厳しい難易度になっています。

 

CGも非常にレベルが高く、今作は本編でのSRPGパートは

難易度の調整がされており、大分遊びやすくなっています。

とにかく難点をすべて吹き飛ばしてしまうぐらい

ストーリーが抜群に良く、のめり込むようにプレイしてしまいました。

これほど必死になってプレイしてしまったゲームは久しぶりです。

1〜2作目プレイが必須ですが、万人に是非ともお勧めしたいゲームです。

これ以上のゲームはなかなか出ないだろうというぐらい、

とにかく楽しく、素晴らしい出来でした。




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