極限脱出ADV 善人シボウデス

 

一言レビュー

協力と裏切りとどちらを選ぶ?

 

グラフィック 6点
シナリオ 9点
ボリューム 7点
システム 7点
快適さ 8点
満足度 9点
総プレイ時間 29時間
総合評価 84点

 

 

2028年12月25日になったばかりのこと。

シグマは大学にレポートの提出に来ていた。

クリスマスにレポートの提出期限を設けた教授を呪いつつも、

なんとか提出し終えて帰ろうかと

大学のガレージに止めておいた車に乗り込んだとき、

突如として車の中に真っ白な煙が立ち込めた。

朦朧とした意識の中、最後に見たのはガスマスクをかけた人物だった。

 

それからどれほどたったのか。

目が覚めれば、そこはなんとも奇妙なエレベーターの中だった。

そして隅にうずくまっている白い髪の少女が一人。

何故だかシグマの名前を知っている

冷たく不可思議な雰囲気を持つ少女に首を傾げつつも、

モニターに現れたゼロ3世と名乗る中華風のウサギに、

そこから急いで脱出しなければ、エレベーターが落ちると告げられる。

大慌てで少女と共にエレベーターの中の仕掛けを解き、出てみれば、

そこには7人の老若男女がいた。

聞いてみれば、彼ら、彼女らも連れ去らわれ、

エレベーターに閉じ込められていたのを脱出したばかりだという。

 

そして再び現れた中華風のウサギは、今いる全員に

ノナリーゲーム・アンビデックスエディションという

命を懸けた脱出ゲームに強制的に挑戦してもらうと告げた。

仕掛けのある部屋を脱出後、

最初に入っていたエレベーター、

通称「アンビデックスルーム」に入ってもらい、

一緒に謎解きをした人物と

協力か裏切りかをかけたゲームをしてもらうという。

 

腕に付けられた時計型のバングルの数字は3。

それを9以上にすれば9という数字が書かれた扉から出て、

この施設を脱出できる。

互いに協力を選べば互いのバングルの数字はプラス2になるが、

片方が裏切りを選べば裏切りを選んだ方がプラス3、

協力を選んだ方はマイナス2、互いに裏切りを選べば加点はない。

9の扉が開くのは一度だけ、しかも9秒限り。

それを逃せば二度と扉は開くことはなく、永遠にこの施設に閉じ込められる。

もしバングルが9に達していない状態で9の扉をくぐろうとしたり、

バングルの数字が0以下になったり、ルール違反をしたりすれば、

その人物はバングルに入っている毒薬で毒殺されるのだという。

 

一刻も早くここから出たい男女の中で、不穏な空気が流れ出す。

9人の人物たちは、はたして協力してこの施設を脱出できるだろうか。

 

 

という、前作9時間9人9の扉の続編です。

共に施設に閉じ込められつつも不和の種をまかれ、

また出し抜いて自分だけ脱出しようとする者もおり、

各自が各自の足の引っ張り合いをする疑心暗鬼に陥ります。

その中で起こる殺人や諍い、ラジカル6という凶悪なウイルスが引き起こす謎の病。

何故自分たちはこのような命を懸けたゲームをさせられるのかという、

幾つも散りばめられた謎。

それぞれの選択で未来が分岐し、別の未来で見聞きしたことが、

違う未来で影響する不可思議な現象。

 

様々な謎と不協和音に彩られたシナリオは、

完結していないものの、圧巻です。

次々と明らかにされる謎や彼らの思惑や正体、

分岐を過ぎるごとにくるくると変わる仕掛け。

シナリオに呑みこまれてぐいぐいと引きずっていく仕掛けは

思わずうならずにはいられません。

次回作で完結するようになっており、

今作では幾つもの謎が明らかになっていませんが、

それでもその世界観にどんどん引き込まれるものがあったのは流石です。

思わず食らいつくようにプレイしてしまいました

 

 

 

ジャンルは脱出サスペンスアドベンチャー。

前作は比較的脱出パートは簡単だったのですが、

今作は脱出ゲームにやや比重が傾いています。

こういうタイプをプレイしない人には結構高難易度で、

私はこういうジャンルは前作以外プレイしたことがないので、

途中で随分困らされました。

ですので、大雑把にプレイして

わからなければ素直に攻略サイトに頼りました。

 

EASYでプレイすると一緒にいる人物が

ヒントを言ってくれるらしいのですが、

最後までシナリオを繋げるためには脱出パートを

全部HARDでプレイしなければなりません。

脱出パートは何度でもプレイ可能なので、

難易度を上書きすることは可能なのですが、

初心者向けにEASYでクリアでもいいようにしてほしかったですね。

 

調べるパートはちょっとシビアなところもあり、

また場所の移動や部屋の角度を変えるのにちょっと癖があり、

ぐるっと回ることもあって、私は3D酔いするタイプですので、

目が回ることがありました。

もう少しぱっと場面を変えるとか、

タッチすると反応範囲を枠で囲ってくれるなど

してくれればよかったですね。

 

 

 

基本的なシステムはかなり改善されました。

文章スキップやオートモードもボタン一つで可能です。

ただ、場面が変わるとオートモードが解除されるのが少々面倒でした。

フローチャートというものがほぼいつでも使用可能で、

いつでもどこにでも好きなシーンへ

ペナルティなく飛んで行けるのは非常に便利です。

チャートは、ロックされている個所や、

脱出パートの攻略状況、どの選択肢を選んだのか

といった事が非常にわかりやすく表示されており、

チャートを見ればプレイ状況が一目でわかるのはとても良いシステムですね。

これで前回のように何度も同じ脱出パートを

プレイさせられるということがなくなりました。

基本的にはHARDでどの部屋も一度だけ

謎解きをすればよいようになっています。

 

 

 

グラフィックですが前作と同じ絵師を採用しており、

かなり癖のあるタイプ。

癖というよりアクでしょうか。

ゲーム中では基本3Dで進行するので、

全面的にそのイラストは出てきませんが、

それでもイラストを元に3Dを作っているので、

多少は癖が残っています。

比較的緩和されているのであまり気にすることではありませんが、

3Dの出来は人形めいてあまり良くはありません。

 

 

 

プレイ時間は29時間。

プレイタイムが表示されるので正確です。

BADエンドを含む全エンディングを制覇、

プラチナトロフィーを取得しています。

謎解き部分は素直に攻略サイトを頼りました。

 

ぐいぐいと引きずり込んでいく圧巻のシナリオは流石です。

アドベンチャーならではの仕掛けもあり、思わずうならずにはいられません。

ただし、今作では終了していません。

謎はいくつも散りばめられたまま放置されており、

その謎は次回作で回収されるようです。

それと、前作と繋がりがあり、前作で登場した人物が今作もいるので、

出来る限り前作をプレイしてからのほうがいいでしょう。




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